私は今、人生の中で一番自分が好きです。
この後の人生でも自分のことがもっともっと好きになっていくのだろうと思います。
しかし、私は人生の最初の20年間、自分を好きじゃない人生を送りました。別に好きにならないように生きていたわけではないのですが、好きじゃないことが普通のような気がしていました。私だけではなく、多くの人が自分のことをそこまで好きじゃないのが普通だと思っていました。
自分を好きになることは、自分の人生には縁のないことのようにも感じていました。“人間ピラミッド”の上の方のにいる人だけが自分を好きな人生が送れるのだと羨ましかったです。
だって、その頃は、まさか自分が自分のことを好きになれるなんて思ってもいませんでしたから。
なにかと理由をつけて、自分を好きになれない人は多い
まず「自分が好き」と思うこと自体、ハードルが高いと感じていました。好きと言えるほどの価値を自分が生み出せないと、自分を好きになってはいけないと思い込んでいたのでした。
今の私があの頃の自分にアドバイスをあげるなら、
・「私は生まれた時点で奇跡のような存在で、それだけで価値がある」ということ。
・「他人が私につける価値なんて、自分の人生においては重要ではない」ということ。
・「自分が自分をどう思えるかが私の本当の価値である」ということ。
だから自分を無条件に好きになっていいと言ってあげたい。
自分でも気に入っている自分の特徴も、「もっとすごい人がいるから」「綺麗な人がいるから」となにかと理由をつけて好きになれないでいる、そんな人も多いと思います。
でも自分の評価に条件なんていらない。自分が好きなものこそが正義であるべきだとおもいませんか?
私は、自分の好きじゃなかったころを思い出すと、今はずいぶんと生きるのが楽になったように感じます。
自分を好きになる前は、自分に一人も味方がいないように感じていました。もちろん友達はいたけれど、自分で自分のことを好きになれなければ、人が自分を好きでいてくれても、その愛をちゃんと活かしきれなかったんだと思います。周りの人の愛情や優しさをちゃんと吸収できずに、無駄にしてしまっていたような気がします。
どんなに褒められてもそれを信じられずに、表面上では喜びながら、心の中では「どうせ、本当はそんな風に思っていないんでしょう」という気持ちになることすらありました。
でも今はそんなことを考えることなく、体全身に褒め言葉を感じることができるようになりました。
「自分を好きじゃない」と言うと、心配される
その大きなきっかけは、やはりアメリカにきたことでした。
ロサンゼルスに移住して、「自分が好きである」ことがデフォルトというか、標準装備であると考える人が多いことに気づきました。
「自分を好きじゃない」と言うと、物凄く心配されるんです。
日本では「自分のことを好きじゃない」と誰かに話したら、「みんな、そうじゃない?」と返ってくることも多くありましたが、ロサンゼルスでは「美穂は素晴らしい人間だからそんなこと言わないで。美穂は自分を好きになれるだけの価値のある人間だよ」と言ってくれる人が多かったのです。
特にロサンゼルスは違う文化背景を持つ人たちが交わる街で、自分らしさこそが自分の魅力だと思うことが、自然なこと。そんな場所にいたら、自分を好きになることへのハードルがさらに低くなるのかもしれないとも思いました。
そして、実際に私は自分らしさを自分の魅力として受け入れて、それが自分の「好き」に変わっていったようにも思います。
ただ、こんな気軽に「自分のことを好きになろう!」と書いているけれど、自分を好きになるのは、そんなに簡単なことじゃありません。どうしても自分を好きになれない、と言う人だって、自分を好きになりたくなくて、そうなってるわけではないはずです。
私自身もアメリカでさまざまなことを経験し、紆余曲折もあって、気づけばようやくここにたどり着いていたのです。
自分を好きになるのはながーいプロセスが必要です。
とくに、体型などの見た目が変わりやすい思春期に自信を無くしてしまい、そのまま自分を好きになる方法を知らずに大人になる、という人は多いと思います。
そして、大人になると、他人はなかなか自分を褒めてくれないし、日々に忙殺され、なかなか自分を好きになる大きなきっかけがないので、なんとなく自分を好きになれないまま時が過ぎてしまいます。
「自分を好きになれない自分」を変えたくて歯痒いけれど、変え方がわからない。そんな人が多いはず。
でも大丈夫です!
ここで私のこのコラムを読んだあなたはラッキーです。
私の過去のコラムに自分を好きになるヒントがたくさん隠されています。
また、私のように自分のことが好きで、前向きな人のSNSをフォローして毎日良いバイブスを浴びたら、まず考え方や意識が変わっていきます。
考え方の癖で、自分を好きになれない人が多いので、ほんの少し考え方を変えるだけで、自分を好きになれたりするのです。
自分を嫌いで生まれてくる赤ちゃんはいない
今「でも、そんな簡単なことで本当に自分のことを好きになれるの?」と思った、そこのあなた。その「でも」という言葉を使う数が減らすことも、自分を好きになるための第一歩です。
自分のことを嫌いと思いながら生まれてくる赤ちゃんはいませんから、私たちはもともと生まれながらにして自分を好きなことがデフォルトのはずなんです。初期設定なんです。
だから、ゆっくりと生まれたばかりの状態に戻していく作業こそが自分を好きになることなのです。
そう考えたら、自分を好きになるって、そんな大袈裟なことではないように思えてきませんか? ゆっくりでも進めば、必ず辿り着けます。私たちはみんなその道順を知っているはずですから。
私は女優としてなにかの作品に関わるときに、自分がその作品のファンになれるときが一番幸せに感じます。
その作品を何度も見て、スタッフの方々や共演者に感謝の気持ちでいっぱいになるし、自分にも作品にも誇りを感じずにいられない。
もしも自分が自分の一番のファンでいられたら、嬉しいときは心から喜べるし、悲しいときは「でも私はこんなに素敵なところがたくさんある」と考えを切り替えて、「自分がまた嬉しくなれるように頑張ろう」と思える。なにをやってもプラスになるんです。
自分が自分のファンだから、自分自身を裏切りたくない。他人と自分を比べて落胆するのではなく、過去の自分に負けないように、理想の自分を諦めないために、自分と向き合って戦う。
だから自分を好きなこと自体がモチベーションになります。
自分を好きになることは「自分応援団を持つこと」なのです。
(編集:榊原すずみ)