韓国の女性性搾取「n番部屋」事件で、テレビ局記者が解雇処分に 有料会員になろうとしていた

警察はこの記者が「博士部屋」運営者チョ・ジュビン被告に送金した状況をつかみ調査中という。
6月15日「ニュースデスク」
6月15日「ニュースデスク」
『MBCNEWS』公式YouTubeより

韓国で性搾取物が共有された「博士部屋」の有料会員になろうとしたとして、テレビ局MBCの記者が解雇された。

ハンギョレによると6月15日、MBCは人事委員会を開き、就業規則違反を理由に解雇を決定したと明かした。また同日、自社の報道番組「ニュースデスク」で視聴者に向けて、自社の記者を解雇したことを述べた。

MBCの記者が「博士部屋」に入会しようとしたという情報は、韓国の別のテレビ局KBSの単独報道により初めて明らかになった。KBSの報道により、MBCの当該記者は「博士部屋」の運営者として知られるチョ・ジュビン被告のグループに対し仮想通貨70万ウォンを送ったことが明らかになっていた。

これに対しMBCは4月24日、「ニュースデスク」の番組内で「本社記者が2月中旬、性搾取物が共有された『博士部屋』に有料会員として加入しようとした事実を確認し、真相調査を行っている」と公式な立場を述べた。また、当該記者がMBC内の調査で「取材目的」で送金したことを認めていることも伝えられた。

しかし6月4日、MBCはこの件に関する報道資料を公開し、結果的に取材目的だということを立証できる証拠がなかったことを明らかにした。

報道資料によると、MBCは4月28日に外部専門家2人を含めた調査委員会を構成。調査対象者面談、書面調査、関連者陳述聴取、会社支給ノートパソコンの調査などを行い調査を行ったという。しかし、「博士部屋加入に使用された法人携帯電話を紛失したと陳述し調査できなかった」とし、「取材目的であったという調査対象者本人の陳述を立証できる証拠が確認されなかった」と明らかにした。

また、MBCは、主に事実関係の確認と3回による全体会議を通し、記者が「博士部屋」への加入費を送金したのは取材目的だったという陳述を信頼することが困難だったという結論を出した。

この報道資料では「上記のような内容の調査報告書を基に、今後、調査対象者に対する人事委員会を開き、懲戒等社規で定めた措置をとります」と述べ、同日の「ニュースデスク」でも調査結果について報道した。

ハンギョレによると、警察はこの記者が「博士部屋」運営者チョ・ジュビン被告に送金した状況をつかみ調査中という。

韓国の「n番部屋事件」とは?
チャットツール「テレグラム」上で発生した韓国の事件。犯人グループはSNSで女性をだまして性的な写真を入手し、それを元に脅迫する手口でさらにエスカレートした性的搾取画像や映像を送らせたりしていた。画像などは複数の有料チャットルームで共有され、金を払った会員26万人(重複含む)がそれを見ていた。被害者の女性は未成年を含む多数にのぼる。現在、警察が把握した被害者は10人だが、逮捕された容疑者の供述から70人程度と推測されている。韓国政府は、チャットルームの有料会員になって閲覧していた者も含む全員を厳正に調査し、処罰する方針だ。

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