サーモンを切ったまな板からコロナが...集団感染の北京で広がる恐怖。「ウイルス媒介の可能性低い」専門家

サーモンを切り分けたまな板からウイルスが検出されたが、サーモンがウイルスを媒介する可能性は低いという。

約2カ月ぶりに新型コロナウイルスの新規感染者が見つかった中国・北京市で「サーモン」をめぐり不安の声が相次いでいる。

感染の原因ではないかとする不確定な情報が出回り、現地の専門家は「サーモンそのものがウイルスを媒介している可能性はかなり低い」と呼びかけている。

サーモン(イメージ画像)
サーモン(イメージ画像)
Yuri Smityuk via Getty Images

■食べても大丈夫?

北京ではおよそ2カ月にわたり新規感染者が出ていなかったが、6月12日に感染者が見つかり、15日には北京だけで27人が感染した。12日からの感染者数の合計は100人を超え、北京市は「非常時に入った」と宣言した。

感染が広まった原因とみられるのが、市内にある「新発地市場」だ。感染源は特定されていないものの、この市場で輸入サーモンを切り分けたまな板から新型コロナウイルスが検出されたため、サーモンへの注目度が高まったのだ。

これを受けて、サーモンが急速に消費者の注目を集めることになる。

北京紙などの報道によると、北京市内の主要なスーパーや日本料理店ではすでにサーモンの販売を取りやめたという。

また、中国はノルウェーやカナダなどからサーモンを輸入しているが、すでに輸入を一時停止しているという。

一方で、ネット通販などでは依然として販売されていて、「果たしてサーモンは食べて大丈夫か?」という議論がネットで巻き起こった。「公式の発表が出るまで待ったほうがいい」などの書き込みがSNSに相次いで投稿され、現地メディアは「パニックと焦りが一時期頂点に達した」と評した。

■「主要な仮説ではない」

これに対し、現地の専門家は冷静に対応するよう呼びかけている。

現地の専門家はメディアの取材に対し、サーモンそのものがウイルスを媒介している可能性はかなり低く、まな板からウイルスが検出されたのは、サーモンがどこかで接触したからではないか、とする見方を示した。

その上で別の専門家は「加熱して食べる分には問題ないが、生食はリスクがある」とした。

またロイター通信によると、WHOで緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は輸入サーモンや包装が原因だったとする説を「主要な仮説ではない」とし、「何があったかを検証する必要がある」と話している。

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