アメリカ・ミネアポリスでジョージ・フロイドさんが警察官に首を押さえつけられて死亡した事件をきっかけに、黒人の人たちに対する暴力に抗議する「Black Lives Matter」運動が世界中で広がっている。
東京・渋谷の代々木公園では6月14日、人種差別やこの問題に抗議するデモが開かれ、およそ千を超える人たちが練り歩いた。新型コロナウイルス感染予防のため、参加者はマスクを着用し、主催者側は距離をとるよう呼びかけた。
ハフポスト日本版は、デモを企画したシエラ・トッドさんに話を聞いた。
トッドさんはアメリカ出身で、日本に住む大学生。
マーチを企画した背景について、アメリカや世界各地で広がっているBlack Lives Matter運動に対して、何か行動を起こしたかったと語る。
「私は日本にいて、自分がこの運動へのサポートを行動や身体的に示せないことにフラストレーションを感じていました。同じ気持ちを示していた他の人たちと話をして、彼らが自分を表現・表明できるイベントを自分でしようと思い立ちました」
今回のデモを通じて、Black Lives Matter運動への賛同の意思を示したり、日本にいるマイノリティの人たちを環境を良くしたいという思いもあるという。
「まず、アメリカで正義のために戦っている人たちを私たちが支持しているということや、さらに日本にいる人たちも彼らを気にかけ、関心を寄せているということを示したいです」
「それと同時に、日本にいる、特にマイノリティの人たちに対して、彼らがより快適に過ごせるような環境を作りたいという思いも示したいです」
人生のほとんどをアメリカで過ごしたというトッドさんにとって、Black Lives Matter運動は「とても自分ごとです」と語る。
“アメリカで起きた出来事”という捉え方に対して、日本で話題し、行動に移すことの重要性についてこう訴える。
「日本にも黒人の人たちがいます。黒人のルーツを持つ日本人の人たちは、“黒人であること”や肌の色を理由に、“日本人であること”を否定されてしまうことがあります。過去にミス・ユニバース日本代表に選ばれた女性に対して、黒人のルーツを持つという理由などで、ヘイトが起きたこともありました。そうしたことがまさに、日本でもBlack Lives Matterについて話題にする理由でもあります」
デモには黒人の人たちをはじめ、人種や国籍など、多種多様な人たちが参加した。日本にいる多くの人たちが関わることで、「彼らの言葉や行動はとても重要で、それが他の人たちの関心を呼び、影響が広がっていくはずです」と期待した。
「誰もが公平に扱われ、公平な生活を送ることは、当たり前のことです。一人ひとりのアクションがその実現に貢献できると考える・理解するかどうかという話です」と語った。
何か行動を起こしたいと考えている人や、一歩踏み出せない人たちに向けて、こう呼びかけた。
「色々な情報を見て、この出来事について、もちろん日本語でいいのでまず話してもらうこと。日本に住んでいる人のストーリーを聞くこともできると思うので、経験がある人と話をしてみることも重要です」
デモの様子は?
デモは午後3時ごろから、東京・代々木公園でスタート。マスクを着用した参加者は、「Black Lives Matter」(黒人の命は大切だ)(黒人の命を守れ)という掛け声や、「I can’t breath(息ができない)」といったプラカードを掲げて、渋谷・原宿駅周辺を数キロ練り歩いた。
デモに参加する人の列は数百メートルも伸び、人と人との距離を保つためいくつもグループに分かれて展開。開始時間から30分以上経っても、列が途切れないほどの人たちが参加した。