ディズニーランドで大人気のアトラクションのスプラッシュ・マウンテンに「変化」を求める意見が寄せられている。
その背景には、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件を受け世界各地で広がる抗議活動「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」があるという。
一体、何が問題視されているのか。
スプラッシュ・マウンテン、どんなアトラクション?
そもそもスプラッシュ・マウンテンは、日本の東京ディズニーランドのみならず、海外のパークでも大人気のアトラクション。
日本では、丸太の形をしたボートに乗り込み、最後には最大傾斜45度・落差16mの滝つぼをめがけて落下するというスリルを味わえる。落下する瞬間が写真に収められることでも知られる。
幅広い世代に人気のアトラクションのため、パークを訪れたことがある人は、一度は乗ったことがあるという人も多いかもしれない。
モデルになった“ある映画“の黒人の描写を問題視。抗議受け配信など取りやめに
スプラッシュ・マウンテンのモデルとなっているのが、1946年に公開されたディズニー映画『南部の唄』。
同作は、小説を原作とする実写とアニメーションを組み合わせた作品で、アメリカ南部の農場を舞台に白人の少年と農場で働く黒人の交流を描いた物語だ。
映画が公開された当時は、著しい黒人への差別が根強かったため、劇中の“白人と黒人が交流する”という描写に対して「現実と乖離している」などという批判が寄せられたという。
全米黒人地位向上協会(NAACP)は、一部の黒人の描き方をめぐってディズニーに抗議。その後ディズニー側が規制したことで、1986年以降にアメリカで再び公開されることはなかった。
6月11日に日本でもサービスが開始となった、ディズニーの動画配信「Disney+」でも配信はされていない。
Walt Disney Companyの元CEOで、現在は会長を務めるボブ・アイガー氏は、同作について「今日の世界においては(作品は)適切ではない」と述べている。
イギリスのガーディアン誌は2019年11月、「1946年に公開された映画(『南部の唄』)は「Disney+」で配信されないが、一方では陰湿なレイシズムは、ウォルトディズニーの“暗い歴史”を思い出させる重要な役割を果たす」と報じていた。
「Black Lives Matter」で再注目され、批判が再燃
スプラッシュ・マウンテンの変化を求める声の多くは、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件をきっかけに世界各地に広がった抗議活動「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」のうねりを受けたものだ。
Twitterなどネット上では、「黒人の描写が問題で“お蔵入り”になったのに、なぜ現実のアトラクションとして存在しているのか」「アトラクションが映画をベースに作られたのなら、作品が配信されていないという事実を受け止めて、改善しなければならないのでは」などという意見が寄せられていた。
「Black Lives Matter」の抗議活動は、映画の過去作品をはじめエンターテイメント業界に大きな影響を及ぼしている。
アメリカの人気動画配信サイト「HBO Max」は6月10日までに、作中で「人種に対する偏見」が描かれていることを理由に映画『風と共に去りぬ』をプレイリストから削除していた。歴史的な背景などの説明を加えた上で、配信を再開するという。