『セサミストリート』は、時として、子どもたちだけでなく大人にも大切な事を教えてくれる──。
黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件を受け、世界各地で広がる抗議運動「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」。
その抗議運動の意義を、アメリカのCNNと『セサミストリート』がコラボレーションし、子ども向けに解説した動画に多くの反響が寄せられている。
抗議デモの意義が分からないエルモに、父はどう説明した?
動画は、6月8日にYouTubeで公開された。
「Coming Together(一つになろう)Stand Up To Racism(レイシズムに立ち向かおう)」と題された2分19秒のものだ。
事実を何も知らない人気キャラクターのエルモが、外で行われている「Black Lives Matter」の抗議活動の様子を見て、「何が起こっているの?なぜ人が集まっているの?」と父に率直な疑問を投げかける。
すると父は、「抗議するために集まっているんだよ」と答える。
抗議活動の意義が分からないエルモに、父は「何かに怒ったり、反対の意見を示したい時に、他の人にも知ってもらうために、みんなで集まって“問題がある”ということを伝えることなんだよ」と説明。
続けて、「抗議活動をすることで気持ちを分かち合ったり、物事をよくするために一緒に声をあげることができるんだ」と語りかけた。
「レイシズムってなに?」エルモの質問に対する父の答えは?
エルモの素朴な疑問は、さらに続く。
「みんな、怒っているみたいだよ。みんな悲しいの?」と聞くと、父は「みんな、悲しんでいるよ。そして怒っている。怒る権利があるからだ」と答える。
父は皆が怒っている問題として「レイシズム」を挙げた。
しかし、エルモはレイシズムの意味がいまいち分からず、「レイシズムってなに?」とその意味を尋ねる。
そんな息子に父は「レイシズムは、見た目や肌の色の違いを理由に不公平な扱いを受けてしまうことだよ」と説明。
するとエルモは、「肌の色で?エルモ分からない。だって、エルモには様々な色の肌や毛が生えた友達がいるから。黒、茶色、焦げ茶色、紫だって...」と自分の考えを話した。
それを聞いた父は、「そうだね、エルモ。でも残念なことに、全てのストリートが“セサミストリート”みたいな所ではないんだよ...。セサミストリートでは、みんながお互いのことを尊敬し合い、そして愛し合っている」とエルモの考えを受け止めた。
父はさらに続けて、「でもこの国(アメリカ)では、肌が白くない人、特に黒人の人たちが不公平な扱いを受けているんだ。見た目、文化、人種、そしてどのような人であるか(身分)によってね。だから、みんなこう言ってるんだ。『もう、たくさんだ!』ってね。抗議活動に参加している人たちは、レイシズムを終わらせたいんだよ」と説明した。
するとエルモは「エルモもレイシズムを無くしたい。みんなが平等になってほしい」と話した。
父の説明は、息子の心を打ったようだ...。
この動画を観たとみられる人からは、ネット上で「父の説明がとても心に響いた」「もし自分が子どもに説明するとなったら、これを手本にしようと思う」「セサミストリートって、子ども向けの番組だけど、平等とか大切なテーマをきちんと扱ってくれている」「やっぱり子どもにはこれを見せたい」など、世界中から賞賛の声が多く寄せられていた。
セサミストリートは6月1日、公式Twitterで、「私たちのストリート、そして他のすべてのストリートにも、人種差別主義の居場所はない。セサミストリートは、多様性、一人ひとりの違いを価値あるものとし全体で包み込むこと、そしてとりわけ優しさの下に創られている」などとメッセージを発信。
世界各地に拡がる抗議運動「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」に賛同していた。