アメリカで黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警察官に首を押さえつけられ死亡した事件を巡り、抗議運動が拡大している。一部が暴動化する混乱の中、反ファシスト勢力「ANTIFA」(アンティーファ)を装う白人至上主義者グループが、SNSで暴力を呼びかけていたとして、Twitter社は偽アカウントを凍結した。複数の現地メディアが報じた。
NBCなどによると、白人至上主義グループの「Identity Evropa」が、「@Antifa_US」というアンティーファを装ったアカウントを作成。フロイドさんの事件を受けて「black lives matter(黒人の命は大事だ)」の抗議運動が広がる中、Twitterで暴力行為を呼びかける投稿をしていたという。
Twitter社は、偽のアカウントを作成し、暴力を煽るツイートをするなど同社のルールに違反したとして、アカウントを停止した。同社がIdentity Evropaが関与する偽アカウントに対して措置を講じたのは初めてではないという。
アンティーファとは、anti-fascistの略称で、「ファシストに反対する勢力」の意。中心組織や指導者を持たない。財産の破壊、暴力行為と言った過激な抗議手段も辞さないことから、「極左運動」「極左の武装勢力」ともいわれる。
アメリカでは、2017年1月のトランプ大統領の就任前後に台頭。反人種差別主義、反白人優越主義、反性差別主義などを掲げ、KKK(クー・クラックス・クラン)やネオナチに対抗し、抗議活動を繰り広げてきた。
トランプ大統領は5月31日、暴力や破壊行為をアンティーファが煽っているとして、自身のTwitterで「ANTIFAを国内テロ組織に指定する」と表明していた。だが、テロ組織に指定する法的権限はないとされる。一方で、CBSなどによると、アンティーファの暴動への関与を裏付ける証拠は確認されていない。
ジョージ・フロイドさんの事件後、SNSではデマの流出が問題になっている。ABCによると、Twitterでは、5月31日から6月1日にかけて「ワシントンD.C.でインターネットが停電する」などの誤情報が拡散した。Twitter社は、偽情報を流した何百ものスパムアカウントを停止したという。