Facebook(フェイスブック)がプラットフォーム上の暴力的な表現や誤情報の監視に不介入のアプローチをとっているちょうどの時に、同社は米国で「人種問題を正そうと取り組んでいるグループ」に1000万ドル(約11億円)を寄付する。同社CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)が米国5月31日夜の投稿で明らかにした。
寄付の約束は、警察による残忍な行為に対して米国中で起こっている抗議デモを受けてのものだ。抗議はミネアポリスで警官に殺されたアフリカ系米国人George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死を撮影したビデオがFacebook上で拡散したことに端を発している。
ザッカーバーグ氏の寄付の約束は、何人かの名の知れたFacebook従業員がTwitterの対応と比較して自社の対応に不満を表明した後に出てきた。また、寄付の表明があってから数時間後に多くの従業員がバーチャルストを実行した。
「私はFacebookで働いているが、Facebookの対応は自慢できるものではない」と同社でプロダクト管理ディレクターを務めるJason Toff(ジェイソン・トォフ)氏はツイートした。「私が話した同僚の大半が同じように感じている。我々は声を上げている」。
いくつかのテック企業が抗議デモや直面している組織的な不公平への連帯のメッセージを出した(未訳記事)が、そうした中でザッカーバーグ氏も声明を発表した。
Facebookへの投稿の中でザッカーバーグ氏は、フロイド氏が殺される様子をとらえたビデオがFacebookに投稿された事実に行を割いた。
「人々の安全を守り、また我々のシステムが偏見を増幅させないことを確かなものにするために、Facebookには取り組むべきことがあるのは明らかだ」とザッカーバーグ氏は書いた。「正義と戦う組織は資金を必要としている。よってFacebookは人種問題に取り組むグループに1000万ドルを提供する。地域、あるいは全国的な組織の中でどこがこの資金をいま最も有効活用できるか、公民権アドバイザーや従業員と検討している」。
今回の寄付とは別に、Facebookは人種不平等と戦う組織に「ここ数年毎年」4000万ドル(約43億円)を拠出している。Anand Giridharadas(アナンド・ギリダラダス)氏のような批判家は「Facebookの金庫からの寄付は同社のビジネスモデルが抱える問題や、同社のサービスが誤情報を拡散するという問題を十分に解決できていないという事実をなかったことにはしない」と指摘する。
「ザッカーバーグ氏のお返しは、さほど大きな違いを生まないような取るに足りない寄付ではない。実際は、彼の有害なビジネスモデルに余裕や政治的資本を金で加えることで物事が一層悪化する」とギリダラダス氏は書いている。
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(翻訳:Mizoguchi)
(2020年6月3日 TechCrunch Japan「Facebookが人種問題に取り組む団体に11億円を寄付、従業員からは不満の声も」より転載)
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