6月18日に告示、7月5日に投開票の東京都知事選に向け、立候補の表明が続いている。
6月2日には、熊本県副知事を務める小野泰輔氏(46)が出馬を表明した。
・「副知事の経験をいかす」小野泰輔氏
記者会見で、小野氏は熊本県副知事としての2012年の九州北部豪雨や2016年の熊本地震、新型コロナウイルス対策の経験を挙げ、「コロナウイルスによる苦境を乗りきるために、熊本での経験がいかせるのではないか」と出馬の理由を明かした。
東京都知事選について、「現職の小池都知事が無風状態で選挙を迎えるのではないか。しかし、今後の日本を考えた時に、この都知事選で論戦が行わなければならない」と指摘。
小野氏は「論戦」という言葉を繰り返し使い、自身の出馬が「東京の未来を考えるきっかけになれば」と述べた。また、今後は「東京と地方がどう繋がり、経済を回していくか。東京が東京だけで発展し生きていける時代ではなくなった」と、持論を展開した。
現都知事である小池百合子氏については、「この4年間、ご自身の公約をどこまで達成できているのか」と疑問を呈し、その業績を都民に説明することを求めた。
小野氏は無所属での出馬となり、「政党の力には頼らず、SNSでの発信を大事にする」と説明した。
小野氏は東京大学法学部に在学中に、当時教授だった蒲島郁夫熊本知事から指導を受けていた。会社勤務や衆院議員秘書を経て、2012年に当時全国最年少で副知事に就任した。
・「雇用や暮らしを守る政策訴える」宇都宮健児氏
元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(73)も、すでに5月25日、都知事選への出馬をTwitterで表明している。5月27日に都庁で開いた記者会見では、「都民の暮らしや命を守ることが自治体の役割」と強調し、雇用や暮らしを守るための政策が重要だと訴えた。
会見では、緊急の課題として、医療体制の充実や自粛・休業要請に対する補償の徹底などの新型コロナウイルス感染症対策、都立・公社病院の独立行政法人化中止、都が検討しているカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の中止の3点を上げた。さらに、学校給食の完全無償化や温暖化対策の強化、正規労働者を増やすことなどを「重視する8課題」として掲げている。
新型コロナウイルス感染拡大に対する国や都の政策については、不十分で後手に回っていると批判。非常時にしわ寄せを受けるのは社会的・経済的に困難を抱えている人たちだとし、「そういう人たちに手を差し伸べるのが政治と自治体の役割」と強調した。
宇都宮氏は1946年生まれ。日本弁護士連合会の元会長で、2012年と2014年にも都知事選に出馬し、次点となっている。前回の2016年都知事選は、野党の候補者一本化を受けて直前に出馬を取りやめていた。
各社報道によると、都知事選には、NHKから国民を守る党の党首、立花孝志氏(52)など新人4人が立候補の意向を表明した。自民党は独自候補擁立を断念し、小池氏への推薦も含めた支援を検討し、小池氏に反発する声もある党都連に対応を促している。
また、立憲民主党の福山哲郎幹事長は5月26日の記者会見で、候補者擁立を引き続き追求する考えを示している。現職の小池氏は、再選を目指して立候補する意向を固めたと報道各社が報じている。