中国IT最大手・アリババグループの創業者、ジャック・マー(馬雲)氏に、医療従事者の願いが届いた。
新型コロナの感染が爆発的に広まった中国・武漢市へ応援に入っていた、医療従事者の「マーさんと火鍋を食べたい」というネットの投稿に本人が反応。6000人以上に「クラウド鍋」を振る舞うという。
■まさかの「やりましょう」
発端になったのは安徽省の病院で働く看護師、王琪(おう・き)さんの投稿だ。王さんは新型コロナの感染が広まった武漢市に応援に入っていた3月、マー氏が病院宛てに届けたミルクティーなどの差し入れを受け取った。
王さんと同僚はお礼として、病院の前から動画メッセージを投稿。マー氏に対して「感染が収まったら私たちの大好きな火鍋を食べましょう」と呼びかけていた。
この投稿のリプライ欄になんとマー氏本人が登場。「やりましょう。時間と場所だけ伝えてください」と応じたのだ。
王さんはその後、応援を終えて安徽省に戻った。隔離期間もすぎた6月1日、マー氏はある方法で約束を果たすと宣言した。
それが「クラウド火鍋」。地元メディアによると、王さんと同僚たち66人は安徽省の会場でマー氏と鍋を囲むが、マー氏はさらに多くの医療従事者に参加して欲しいと考えたのか、武漢市に応援に入った医療従事者のうち6600人をネット経由で招待したのだ。
やり方もIT企業らしい。医療従事者はアリババのキャッシュレスサービス「アリペイ」 からクラウド鍋に遠隔参加でき、食材もアリババ傘下のフードデリバリー「ウーラマ」が火鍋セットを自宅に届けてくれるという。
クラウド鍋は6月6日の午後6時6分から始まる。参加人数も合計で6666人となり、中国のネット用語で「すごい」「素晴らしい」などを意味する「6」を並べた。
王さんは自身のSNSで「本当に感激です。しばらくは白衣を脱いで、子供のように楽しみましょう。クラウド上でお待ちしています!」と喜びを語っている。
ジャック・マー氏は杭州市生まれの元英語教師。1999年にアリババを設立すると、Eコマース(ネット通販)プラットフォームの「タオバオ」「天猫」や、キャッシュレス決済「アリペイ 」などを生み出し、中国を代表するIT企業に成長させた。2019年に会長職を退任。新型コロナをめぐっては中国国内外への支援活動を積極的に行っていて、日本にもマスク100万枚を寄付するなどしていた。