日本新聞協会と日本民間放送連盟は5月21日、新型コロナウイルス感染症の差別・偏見問題が相次いでいることを受け共同声明を発表し、「より一層、差別・偏見 がなくなるような報道を心がけたい」などと表明した。
日本新聞協会と日本民間放送連盟は声明で、「感染者や医療従事者、エッセンシャルワーカーの方々に対する差別・偏見が大きな問題となっている」と現状に触れた上で、医学研究者や臨床家などからの要望を受け、「報道に何が求められているのか」という視点で、専門家らと意見交換を行ったことを明らかにした。
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新型コロナウイルスの感染者への差別や偏見については、「インターネット上で実名を暴こうとされたり、デマが拡散されたりするなどの人権侵害事例が生じている。医療従事者に関しては、とりわけ感染者を受け入れた医療機関の従事者やその家族がホテルの宿泊や保育所の預かりを断られたり、心ない発言で傷つけられたりするケースが起きている」と現状を報告。
その上で、「こうした事態が続けば医療従事者の離職を生み、医療崩壊の危機が高まることになる」と懸念を示した。
新聞協会と民放連は、こうした差別や偏見・中傷は「決して許されないとの考え方を共有している」と前置きし、「今後より一層、差別・偏見 がなくなるような報道を心がけたい」と意思を表明した。
感染者に関する公表については、「プライバシーを侵害しない範囲で提供する」という観点から、議論を深めていく」とし、慎重に情報を取り扱う姿勢を示した。