新型コロナウイルス感染拡大による休業や外出自粛要請を受け、文化事業に大きな影響が出ている。演劇・音楽・映画業界の有志が手を取り合い、国に公的支援を求めるプロジェクト「#WeNeedCulture」をスタートさせた。
プロジェクトでは、文化芸術の復興・継続のために「文化芸術復興基金」を設立することを目指している。5月21日にはオンラインのシンポジウムが開かれ、自民党の伊藤信太郎氏、立憲民主党の枝野幸男氏、日本共産党の志位和夫氏ら政治家が登壇。文化芸術を守るため、党派を超えて協力していくべきとの認識を示した。
文化予算の少なさコロナ禍で浮き彫りに
「#WeNeedCulture」は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、演劇・映画・音楽関係者が共同で立ち上げたプロジェクトだ。
ミニシアターの支援を主に行っている「SAVE the CINEMA」、ライブハウス休業に伴う補償を求めるプロジェクト「SaveOurSpace」、演劇界への公的支援を求める「演劇緊急支援プロジェクト」の3団体が主催している。
新型コロナウイルスの感染拡大は、日本の文化芸術にかける予算の少なさを浮き彫りにしたが、プロジェクトでは文化芸術の復興・継続のために「文化芸術復興基金」を設立することを目指すという。
5月22日には、文化庁や文科省、経産省などの省庁に対して基金設立を求める要望書を提出し、記者会見を開く予定だ。
党派超えて支援に協力を
提出に先駆けて、21日には映像関係者の有志が始めたインターネット番組「Choose Life Project」でオンラインシンポジウムが開催された。
立憲民主党代表の枝野幸男氏は、「新型コロナウイルスの性格上、ミニシアターや劇場など、文化を支えていただいている皆さんの場が、一番最初に自粛をしてもらわなくてはならず、おそらく最後まで自粛が求められる」と指摘。
「ごく一部の方は経済的な余裕があるかもしれませんが、困窮するかもしれない立場で頑張っていただいている。残念ながら平時の枠組みが弱いので、思い切った支援になっていない」と語り、「基金を実現させて、これを足がかりに日本の文化政策が大きく変わったというきっかけにしたい」と強調した。
共産党委員長の志位和夫氏は、「芸術文化は必要不可欠なもの。日本は根本的に考え方を変えなくてはいけないと思います」と主張。「(文化芸術事業は)大きな損害を出しながら感染拡大を防ぐために頑張ってこられた。政治家はそれに対して補償の責任を果たす役割がある」と話し、支援の拡充を求めた。
シンポジウムには、文化芸術振興議員連盟で事務局長を務める伊藤信太郎氏も登壇した。
伊藤氏は、「文化芸術は人間の存在理由の本質的な部分だと思う。コロナの厳しい状況の中で、文化芸術を守るというところでも国としての品格が問われている」と指摘。与党の中でも支援を求める声は広がっているといい、「文化芸術が大事だというのは、イデオロギーや政治的な立場を超えたところにある。議連でも公的支援を十分に入れるべく(国に)強く申し入れた」と強調した。