第二次世界大戦における海軍を舞台として、トム・ハンクスが脚本・主演を務める映画『グレイハウンド』が劇場公開をスルーし、Apple TV+に接岸しました。本来なら全米で6月公開予定だったものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による映画館の閉鎖が続くことから、ストリーミング各社によって配信権獲得が争われていました。トム・ハンクスと言えばこの3月、妻で歌手のリタ・ウィルソンとともにオーストラリアで新型コロナウイルスに感染し、数週間の隔離生活を余儀なくされたことが大きく報じられていました。幸い大事に至らずに治癒されたことに胸をなで下ろしたファンも大勢いたはずです。しかし今度は自らが脚本と主演を手がけて完成した映画が新型コロナのせいで劇場公開できない事態になってしまい、ある意味もっとも新型コロナに被害を被ったハリウッドスターと言えるかもしれません。
エンタメ情報サイトDeadlineは、Appleが”多くて7000万ドル”を投じて獲得した『グレイハウンド』が、Appleにとって最大の映画プロジェクトになったと伝えています。もともと5月8日の公開予定が6月19日にずれ、劇場の閉鎖でタイミングを失ったこの映画をAppleがいつ配信開始するかはまだわかりません。しかしこの映画は、劇場用映画を直接ストリーミングに持ってくるとどのような反響があるかを見る貴重な例になるでしょう。
映画でのハンクスの役どころは、第二次世界大戦初期に海軍の駆逐艦を指揮する将校アーネスト・クラウスとして描かれています。クラウスは米国は英国との同盟のもとドイツとの戦いにおける重要な物資を運搬する船団の護衛を命じられるものの、その途中でドイツ軍Uボートの潜水隊に遭遇してしまう...というあらすじ。
『グレイハウンド』のように劇場公開予定だった作品の取り込みを続けるかはわかりませんが、Apple TV+はここ最近『ビースティ・ボーイズ・ストーリー』のようなドキュメンタリーにフォーカスしていたものの、現在は長編作品への取り組みを強化しているとされます。まだまだ作品の量やハンクスクラスのスターをフィーチャーした注目作品が手薄なだけに、この後のコンテンツ拡充にも期待したいところです。
(2020年5月20日 Engadget日本版「トム・ハンクス最新作『グレイハウンド』、劇場公開予定から一転Apple TV+で配信へ」より転載)
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