日本高野連と朝日新聞社は5月20日に記者会見を開き、この夏に開幕予定だった第102回全国高校野球選手権大会と地方大会を中止すると発表した。
夏の甲子園が中止となるのは、米騒動の影響が広がった1918年大会と、戦時色が強まった41年大会に続いて3回目となる。42年〜45年までは中断された。
今回の地方大会は約3800校が参加し、全国約250球場で開催される予定だったという。朝日新聞社の渡辺雅隆社長はこの点を踏まえて、中止の理由について「感染リスクを完全な形で抑えるのは極めて難しい。長期の休校で練習が十分でない選手のケガが増えるとも予想される」と説明。
いまの新型コロナの収束状況では、毎年協力をしてもらっているボランティアの審判や運営・医療スタッフの確保が見通せないことや、使用できる球場が限られる可能性にも触れた。
続けて「授業時間の確保のため、夏休みを短縮し登校日を増やす動きもある中で、地方大会が学業の支障になりかねない」と述べた。
全国大会の開催については「無観客での開催や、抽選会や開会式を全て取りやめ、検温や消毒の徹底をして、なんとか開催できないかと検討してまいりました」と説明。
大会が2週間以上に渡るため、全国からの長時間の移動や団体での宿泊を伴うことなどから「感染と拡散のリスクが避けられないという結論に至った」と述べた。
球児やその家族らに向けて「晴れの舞台を目指してきたその夢を絶ってしまうことになって、大変無念であります。期待に応えられず、心苦しく、残念に思っています」と言葉をかけた。
日本高野連の八田英二会長もまた、練習ができるかどうか地域差が出てしまうとして「全国の部員がベストコンディションでフェアに試合に臨める状況とは言い難い」と付け加えた。
夏の甲子園が中止となっても、独自で都道府県大会の開催を検討している地域もあるという。
こうした動きをめぐって八田会長は「日本高野連としてどのような方向を、と打ち出しているわけではありません。地方それぞれの高野連の自主的な判断にお任せするというのが基本的な姿勢です」と説明。
大会運営事務局の担当者は「都道府県独自で開催を模索していく大会は『選手権大会』という名称でないと考えています。これから各都道府県が考える大会は、選手権大会の代わりという位置付けではないと考えています」と付け加えた。
夏の甲子園では、先に中止が決定した春の選抜高校野球大会の救済策が検討されていた。
これについて事務局の担当者は「できれば、その場でなんらかのことができるのではと思ったが、大会が中止となり、コロナの収束が見通せない状況で、いつどこで何ができるのかはかりかねている。選抜関係は考えられる状況にない」と明かした。