新型コロナウイルス対策で出された緊急事態宣言は、39県で既に解除となり、東京・大阪など8都道府県も状況を見ながら解除される見通しとなっている。
解除後の生活に戻ろうとした時、「3密」が懸念される場所のひとつが“満員電車”だ。電車内の「3密」をどう防いだらいいのか。
日本、ニューヨーク、ロンドンでの対策を紹介する。
日本の例
鉄道各社らでつくる鉄道連絡会が5月、事業者向けのガイドラインを出している。新型コロナ感染症対策専門家会議の提言を踏まえて、国交省や専門家の知見を交えて取りまとめている。
ガイドラインでは、利用者に関する「3密」対策を示している。
「密閉」対策:空調装置や窓の解放による車両の換気を徹底。駅構内も、ドアや窓をできる限り開放。
「密集」対策:国交省と協力し、利用者に対するテレワーク・時差出勤の呼びかけの実施。大都市にある鉄道事業者は、混雑状況の情報提供に努める。
「密接」対策:利用者に対して、マスク着用や会話を控えめにすることへの協力の呼びかけ。座席配置を工夫するといったような方法で、密接した会話を避けるための対策の実施。
こうしたガイドラインに沿って、JR東日本では換気を徹底。在来線では窓を開放し、新幹線では、空調・換気装置により6〜8分程度で車内の空気を入れ替えている。
マスク着用や時差出勤・テレワークへの協力の呼びかけのほか、指定席について、可能な限り間隔を空けて座席を販売するようにしているという。
また、JR東は当初、緊急事態宣言による利用者減少に伴い、5月28日以降は新幹線などの運行本数を減らす予定だった。一部で宣言が解除されたことなどから、状況や需要を見ながら減便を見直す方向で検討しているという。
広報担当者は「社会経済活動に必要な移動手段という役割を果たしながら、マスク着用や咳エチケットの呼びかけといった安全対策を徹底したい」と話している。
ニューヨークやロンドンといった大都市でも、新型コロナ禍での電車の混雑が問題視されていた。ロックダウンが解除されつつある今、どんな取り組みがされているのか。
ニューヨークの例
CNNによると、ニューヨークの地下鉄では5月初旬、115年の歴史で初めて、24時間運行を停止した。深夜1時〜早朝5時は完全閉鎖し、車内や構内の清掃や消毒を徹底しているという。
また、駅ホーム上にソーシャルディスタンスを保つための乗車待機位置を記す取り組みも、試験的に実施されている。
ABCニュースによると、ニューヨーク州都市交通局(MTA)のトップは、密集をさけるため、将来的にバスや電車のスペースの事前予約を利用者に求める可能性にも言及しているという。
ロンドンの例
イギリス・ロンドンでは、感染拡大防止のため、地下鉄40駅が一時閉鎖される。
BBCによると、ロンドン交通局はまた、混雑率が高い地下鉄や鉄道20駅のリストを公表。ロンドンブリッジやリバプールストリートといった主要駅が含まれ、必要不可欠の場合を除いて、早朝や夕方のピーク時に利用しないよう呼びかけている。
ロイター通信によると、ロンドン交通局は「2メートルのソーシャルディスタンスを保つという国の基準を満たすためには、通常時の地下鉄やバスの利用者の13〜15%しか移送することができない」と実現の難しさを語っている。