「身につけるだけで空間除菌」などと表示された携帯型の空間除菌用品を販売する5事業社に対して、消費者庁が5月15日、再発防止等の行政指導を行ったと発表した。
これらは、二酸化塩素を利用した空間除菌を標ぼうする、首に下げるなどして使用する商品。景品表示法違反(優良誤認表示)のおそれがあるとしている。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、広くウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品に対して、一般消費者の関心が高まっていた。
同庁は、「当該表示の根拠とされる資料は、狭い密閉空間での実験結果に関する資料であることがほとんどであり、風通しのある場所等で使用する際には、表示どおりの効果が得られない可能性があります」と説明。景品表示法に違反するおそれがあるため、指導を行った。
指導の対象となった表記の事例は以下のとおり。あたかも様々な利用環境において、当該商品を身につけるだけで周囲のウイルス等を除去する効果があるかのように読み取れる表示をしていた。
・ 身につけるだけで、空間のウイルスを除去
・ 身につけるだけで1㎥の空間除菌
・ 携帯することで、オフィスや会議室などで除菌・消臭できます
・ 通勤時の予防として、除菌・消臭いたします
・ 電車やバスの中、各種施設の中などで、空間に浮遊するウイルス・菌・臭いを除去します
これらの表示を、「裏付けとなる合理的な根拠がない」と判断した。
同庁は2014年にも、これらと同様の「置くだけで除菌できる」などと標ぼうした商品を販売した17社に対して「ウイルス除去等の表示について、根拠が不十分」として、再発防止などを求める措置命令(行政処分)を出している。
また、今年3月にも、インターネット広告において、新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする健康食品、マイナスイオン発生器、空間除菌商品等に対し、緊急的に景品表示法(優良誤認表示)及び健康増進法(食品の虚偽・誇大表示)の観点から改善要請等を行っていた。
これらの携帯型の空間除菌を標ぼうする商品は、今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、再び需要が高まり、品薄状態が続いていた。消費者庁はウイルスの感染予防について誤った対応をしてしまうことを防止するため、一般消費者への注意を呼びかけている。