今、世界は大変な状況にあり、自分のセルフケアのことなんて考えている余裕はないかもしれない。でも、実はとても大切なことだ。
「危機の最中で、セルフケアは私たちの生活の中でまず忘れ去られてしまい、その後も最後に再開されるものです」とセラピストのジェニファー・チャペル・マーシュ氏は話す。
セルフケアを怠っているのは、多くの人が苦しんでいる中で自分のことに集中するなんて、わがままだと思っているからかもしれない。でも、自分をケアすることは、あなたの助けを必要としている人をサポートするためになるのだ。
「自分のニーズに耳を傾けることは、わがままではありません。実際には、他の人に心を配るためのあなたの中の余裕を作り出してくれます。飛行機のキャビンアテンダントがよく言うように、『もし飛行機が急に降下した際には、他の人を助ける前に、まず自分に空気マスクをしましょう』と。これはとても重要なのです。もししなければ、誰も助けられないかもしれません」
ハフポストUS版は、ウェルネスの専門家たちに、簡単にできるセルフケア・アドバイスを聞いた。
1. 自分の回復を感じさせてくれるアクティビティのリストを作る
外での散歩やペットを撫でること、瞑想やお菓子作り、絵画やクローゼットの整理、podcastを聞くなど、ストレスを緩和してくれて楽しめることのリストを作ろう。「携帯電話に保存したり、いつでも見れる場所に置いておきましょう」と話すのは、ライターでヨガ・インストラクター、そして今セラピストになるため勉強中のローレン・ドネルソン氏だ。「理想的には、気分のいい日にこのリストを作っておけば、疲れた日に何をすれば良いか考えずに済みます」
2. 感謝していることを認識する
今世界では、私たちを動揺させたり、憤慨させたり、恐怖に感じさせることがたくさん起こっている。でもこうした暗い時期でも、大小関わらず、感謝していることを見つけることは重要だ。
「ネガティブ思考に落ちそうな時に自分を立て直すには、自分の生活の良い面にフォーカスすることです」と瞑想アプリCalmのマインドフルネス部門を率いるタマラ・レビット氏は話す。「感謝は、他のことと同様、練習です。神経科学では、感謝の気持ちを高めると、喪失や苦悩の際にも、さらに多くの感謝できることを見つけられるといいます」
毎日、感謝できることを3つ日記に書いてみよう。そして携帯電話に保存したり、愛する人とシェアしよう。
「医療関係者やサービス業従事者の方々へかもしれないし、天気や、上手く焼けたトーストへの感謝でも、なんでもいいのです」と心理学者のライアン・ハウス氏は話す。「このカオスの中で、良い部分を探そうとすることは、脳と感情にとってとても良い練習になります」
3. 仕事に境界線を引こう
このパンデミック下で多くの人が在宅勤務をしている。リビングルームは今やオフィスにもなり、仕事と遊びの区別をつけるのは難しい。
「起きてすぐに仕事のメールに返信したり、夕食中に上司からのメッセージに対応したくもなるでしょう」とドネルソン氏。
もう少し体制を整えるためには、新型コロナ前と同じ始業・終了時間を守ろう。
「だいたいいつも9時までオフィスに行かなかったのであれば、家でも9時まで仕事をスタートしないようにするのです。そして、通常オフィスを退社する時間になったら、仕事をストップしましょう」
そして仕事以外の時間は、ノートパソコンや他の仕事関係のものは、また仕事をする時までクローゼットや箱などに入れておきましょう。見えなければ、考えなくなります。
4. 「やったこと」リストを作ろう。
パンデミック下の今、私たちの多くは普段より生産性がないーー。そして、それは全くもって理解できることだ。でも、「やることリスト」の中で、やれなかった多くの項目を眺めることは、自分を惨めにするだけだ。そのかわりに、すでにやったことのリストを作ることをハウス氏は勧める。
「大小関わらず、やり遂げた全てのタスクを入れましょう。食料品の買い出しから、洋服を畳むこと、1日子どもたちの世話をしたことも」とハウス氏。「全てのタスクが巨大に見えてしまう今、何かをやり遂げた自分を褒めましょう」
5. ニュースを見るのはほどほどに
「ニュースを見て常に最新の情報を得ることは重要です。でも、正気を失いかねません」とライターでアーティストのミーラ・リー・パテル氏は話す。「ニュースが恐怖や不安の根源になっているのなら、少し距離を置くべきです」
ニュースの量を減らすには、ニュースを見たり読んだりする時間帯を決めて、それ以外の時間はチェックするのをやめよう。
「自分が設定したラインを守りましょう。そしてもし、少しだけのニュースでも多すぎると感じるならば、自分の気持ちに留意し、見るのをやめましょう」
6. 本を読もう
「ずっと読もうと思っていた本を手に取って、1日30分でも読むようにしてみましょう」とフィットネスメディアを創設したチャーリー・アトキンス氏は話す。「30分続けてではなくてもいいんです。10分を3回に分けても構いません」
7. 大きさに構わず、悲しむことを許そう
人々は今、様々な喪失を悲しんでいる。愛する人や仕事、健康、予定、普通の生活...などなど。
「医療従事者であったり、家で3人の子どもの面倒を見るストレスによって弱っていく正気について悲しんでもいいんです」と心理療法士のブリットニー・ボファードさんは話す。
息を吸い、自分を批判せず、今の気持ちを感じよう。そして準備が整ったら、ペンと紙を手に取り、支援となる力を書き出そう、とボファード氏は話す。
それは「パーソナルなものから、仕事、経済、家族のこと、何でもいいんです。支援してくれる友達やメンター、上司、あなたが持っているコト・モノ、自身の力や今までやこれからを生き抜いてきたあなたの力などです」
8. 毎日立ち止まり、自分の調子を確認しよう
自宅待機で、全ての毎日がもうごちゃ混ぜになっている気がするのは、あなただけではない。自分の調子を日々確認することは、目眩がするような日々の中で集中や自覚を促してくれる。
ハウス氏は、以下の3つの質問を勧める。「今、あなたの考えを捉えているものは?」「どんな感情や体の感覚を感じている?」「今日は何を達成したい?」
この練習を、歯磨きやコーヒーを淹れるなどの前からの朝の習慣に取り入れると簡単だという。
9. 呼吸法を練習してみよう
チャペル・マーシュさんの大好きな落ち着かせる方法は、「ボックス呼吸」だという。このテクニックは米海軍特殊部隊Navy SEALSでも人気で、たった5分でできる。やり方は以下だ。
1. 4秒息を吸う
2. 4秒息を肺に溜める
3. 4秒息を吐き、肺の空気を全部出す
4. そのまま4秒、肺を空にしておく
5. これを5分続ける
10. 運動しよう
フィットネスクラブは閉館し、グループエクササイズもできない。でも、体を動かすことは、あなたの感情とメンタルヘルスにとても素晴らしい影響がある。
「あまり体を動かさず、孤独で、高ストレス状態にあることは、感情を低下させ、鬱や不安の症状を増悪させる可能性があります」とセラピストのアナ・ポス氏は話す。「この状況でコントロールできることには限りがありますが、オンライン上にはたくさんのエクササイズの無料コンテンツがあります」
そして、ハードな運動でなくても、その恩恵を受けることができる。
11. 就寝前のルーティンを作り、良質の眠りを促そう
良い睡眠は良い1日のスタートにつながり、ストレスや不安に上手く対応する手助けとなる。そのためには、体を緩ませ、就寝モードに入る手助けをするルーティンを取り入れよう。
「暖かいお風呂やシャワーをお勧めします。また、カフェインフリーのハーブティーと、好きな本を手に取り、Instagramなどを見なければ、きっと眠りにつけるでしょう」
12. 体をストレッチしよう
運動する気力がない時でも、ストレッチならやりやすく、体と心に恩恵をもたらしてくれる。今、在宅勤務をしている人は、崩れた体勢で仕事をしていたりすることによって、体の痛みを感じている人もいるだろう。それに加え、精神的なストレスや緊張を体に溜め込む人も多い。
「1〜3つほどのストレッチをお気に入りストレッチとして選び、携帯電話でアラームをセットし、それぞれのストレッチを2分間やりましょう」
他にも、フォームローラー(ストレッチ器具)やマッサージ棒なども、筋膜を緩ませ、緊張などのストレスに反応する交感神経系の活動を減少させるという。
「特に上背には多くのストレスが溜まるので、床でフォームローラーなどを使いましょう」と理学療法士のニコール・ハース氏は話す。「交感神経の緊張反応を解放するには、圧力の量は気持ちぐらいが丁度いいです」
「このようなリラックス反応を誘発することは、ストレスやその体への影響を管理するのに非常に役に立ちます」
13. 日記をつける
もし考えが次から次へと出てきて疲弊しているのならば、日記を書いてみよう。自身を振り返る時間を取ることは、忙しい心を鎮静し、今経験していることやプロセスを明確化してくれる。
「もしこのような状況に苦しんでいるのであれば、毎日10分、自分の感情を振り返り、心配について書き出し、このようなことを感じてもいいのだ、と認めてあげましょう」とラムジー氏は話す。「普段から自らを振り返ることは、外部の環境が変わった時に、自身との繋がりを感じで、自身の内なるバランスと力を整えることができます」とパテル氏。
14. 自分にもっと優しくしよう
全てに全力投球できてない?それは大目に見てあげよう。チャペル・マーシャル氏は、彼女のクライアントの多くは、自分にいつもよりやる気がないことに気を揉んでいると言うが、今やることは、自分を大事にすることだ。
「今自分が『進歩』していないと強く批判する代わりに、優しい言葉で自分を正当化しましょう。例えば、『これは難しい』『迫る恐怖に体が反応している』『ひとりじゃない』などです」
「今の時期、苦悩している友人や親戚になんて声をかけるかを考えてみましょう。そして、それを自分にかけてあげましょう」とチャペル・マーシュ氏は話す。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。