アメリカ・オレゴン州のポートランドに2店のストリップ・クラブを保有するション・ボールデン氏は今、そんなに忙しくないはずだ。お店は3月から、州の他の多くの店同様「不要不急」とされ、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、閉店を命じられている。
しかし、ハフポストUS版が先日話を聞くと、彼はメディアからの問い合わせや、週末の「ドライブスルー・フード・トゥ・ゴー・ゴー」(ドライブスルーで食事のテイクアウトとストリップを楽しめる)の準備に追われ、残業までしているという。「ドライブスルー・フード・トゥ・ゴー・ゴー」は彼のクラブ、「ラッキー・デビル・ラウンジ」のドライブスルーバージョンで、最近スタートし、近隣ブロックの周りまで車の列ができるほどだ。
ボールデン氏と店のスタッフらは、政府からの閉店指示の後、クラブのダンサーたちが生計を立てるために、フードデリバリースタッフとして働き多くの注文を受け、3月に話題となった。そして、ビジネスの成長を続けるために思いついた更なる戦略が、ドライブスルー・ストリップだ。
「フードデリバリー開始後、多くの地元のビジネスが支援や協力をしてくれました。ステージなどを設置してくれる近所のイベント会社は、『今、仕事がないし、全然やることがないから』と言って、大きなテント、2つの大きなステージ、DJブースやライト付きのストリップホールやレーザーなどを取り付けてくれたんです」
このドライブスルー・ストリップの仕組みは、入り口で30ドルを支払い、メニューから好きなフードを注文する。そしてテントの中に入ると、マスクをしたダンサーたちのショーを楽しめるのだ。それぞれの車に1〜2曲披露し、フードを運んできてくれる。チップ収集箱もあり、ダンサーたちはゴミを拾う道具を使い、遠くからチップを集める。
ドライブスルー・ストリップは、最初のフード・デリバリー業よりも儲かっているようだ。
「土曜の夜には、駐車場の周りにエンドレスに列ができていたんです」とボールデン氏は話し、地元ポートランド外からも客が来ていると加えた。
「2時間半も離れたシアトルから、たくさんの女性が車に乗って、このショーとテイクアウトフードのためにロードトリップしてきてくれたんです。もうクレイジーですよ」
スタッフにとっては、このサービスは収入を得るためだけのものではない。「これは、正常な感覚と創造性を取り戻す一つの方法なんです」と先日ステージ上で誕生日を迎えたダンサーのブロディさんは話す。
「素晴らしい気持ちです。十分ではないですが、動くのは気持ちいいです。翌日起きたら、筋肉痛になっていました。前回ダンスしてからかなり長い時間が経っているのです。今、これが必要なんです」
もう1人のダンサー、トキシックさんは、自宅待機によるネガティブな精神的影響に対応する一つの手段になっている、と話した。
「この何かしらのアート表現ができることによって、このパンデミックの間、私の感情、不安やうつから助けてくれました。セクシーと感じることは素晴らしくて、とても元気になるんです」
そしてこの感情が、来てくれるたくさんの車に反映されているという。
「お客さんの笑顔が見えるんです。こういう選択肢を提供できて嬉しい。お客さんも家から出られるので、以前のデリバリーよりも更にエキサイティングです」
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。