熊本県の地元紙「熊本日日新聞」(熊日、熊本市)のグループ会社が配布したチラシが、男女を色分けしたり、女性のイラストに「断捨離して大掃除」と書いていたりして「男女平等に逆行。時代錯誤も甚だしい」などと批判が上がっている。熊日は4月30日にお詫び文を発表。一方で、ネットでは批判後の迅速な対応とお詫びの内容を評価する声も広がっている。
問題となったのは、熊日のグループ会社の熊日都市圏販売が作成した「熊日de充実すごもりライフ」と題するチラシ。「今年のGWは家で過ごそう」という言葉の下に、女性のイラストが赤色、男性は青色で描かれていた。
さらに、女性の上に「断捨離して大掃除」「いつもより手の込んだ料理」と書かれ、男性の上には「映画鑑賞」「ゆっくり読書」と書かれていた。
ネットでは「性差別で男尊女卑」「男性は趣味、女性は家事につながるように見えてとても不愉快」などと批判が殺到した。
指摘を受け、熊日は4月30日、自社サイトで「お詫び」を掲載。「ジェンダーや性的少数者をテーマに報道してきた新聞社のグループ会社で不適切な表現を使ったことをお詫びします」と陳謝した。
発表文によると、チラシは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、新聞の配達と販売を担うグループ会社が、大型連休を自宅で過ごす世帯向けに新聞購読を提案する目的で作成したという。
「男女の役割を固定化させる意図はありませんでしたが、熊日都市圏販売の社内でも理解や意識が十分でなくチェックできませんでした」などと釈明。熊本市内を中心に7638枚を配布済みだったという。お詫び文には、グループ会社の研修実施や社内のチェック体制の強化といった再発防止策を示した。
批判が上がってからの熊日側の迅速な対応に、Twitterでは評価する声も上がっている。「経緯を明記してあって感心した」「お詫びの文章は率直で好感が持てる」といった肯定的な意見があった。
今回の事態を受け、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんは「こうやって無意識のうちに“らしさ”はすりこまれていくのかもしれない。大切なのは、様々な声を受けての今後の発信」と一過性の対応だけでは不十分だとして、この問題を契機に考え続けるべき課題だと問題提起をしている。