厚生労働省は4月25日、「雇用調整助成金」の特例措置をさらに拡大することを発表した。都道府県などの自治体から新型コロナウイルスの影響で休業要請を受け、休業や営業時間の短縮などに応じた事業者に対し、休業手当への助成率を10割に引き上げる。
従業員1人につき、1日あたり8330円までという上限があるが、事業者が払う休業手当の一部を補償することで、従業員の雇用を継続してもらうことが狙いだ。
雇用調整助成金とは?
「雇用調整助成金」とは、経済上の理由で、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対し、雇用を維持してもらう目的で、休業手当の一部を国が助成する制度。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、厚労省は4月1日から6月30日までを緊急対応期間として、助成を受けられる要件を緩和したり、助成率を上げたりするなどの特例措置を取っている。
たとえば、従来は売り上げや販売量などを示す「生産指標」が「3か月で10%以上低下」が申請の条件だったのに対し、「1か月で5%以上低下」とハードルを下げるなどしている。
休業要請応じたら休業手当の助成率が10割に
気になるのは、どの程度の金額が事業者に助成されるかだ。
拡充にともない助成率も上がっていて、対象となる企業には休業手当などのうち▽中小で4/5▽大企業で2/3が助成される。さらに、一人も解雇をしていない場合はさらに助成率が高くなり、▽中小で9/10▽大企業で3/4となっている。
4月25日に厚労省が発表した方針では、以下のように、助成率をさらに拡充した。
・解雇等を行わず、従業員の賃金の60%を超えて休業手当を支給する場合、60%を超える部分にかかる助成率を特例的に10割とする。
・休業や営業時間短縮などの要請に応じた中小企業が、解雇等を行わず雇用を維持しており、<①労働者の休業に対して100%の休業手当を支払っている>または<②上限額(8330円)以上の休業手当を支払っている場合>、休業手当全体の助成率を特例的に10割とする。
一方で、助成される金額には上限があり、対象の従業員一人あたり8330円までとなっている。
例えば、従業員10人を休業させた場合、事業者には最大でも1日8万3300円まで助成される計算だ。
厚労省はこの特例措置の詳細について、5月上旬ごろを目途に発表するとしている。
申請方法や問い合わせ先
申請にあたる問い合わせは、都道府県労働局または公共職業安定所(ハローワーク)で受け付けている。問い合わせ窓口の一覧はこちら。
また、コールセンター(0120-60-3999)でも雇用調整助成金に関する問い合わせに対応しているが、厚労省によると、問い合わせが殺到している状況だ。疑問点がある場合は、まずは「雇用調整助成金FAQ」を確認してほしい。
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