新型コロナウイルスの影響で、子どもたちの居場所であるこども食堂の活動休止が広がっている。こども食堂のネットワーク団体が4月に実施した調査では、回答した団体のうち4割近くが休止や延期を余儀なくされた。感染拡大を防ぐため弁当や食材の配布・宅配に切り替えた団体もあるが、休校で給食がなくなり困窮する世帯のニーズは多く、運営側の金銭的負担が増大。活動継続への不安を訴える声も上がる。
増える弁当の需要 資金足りず
「食材の在庫がなく、配布したくてもできない。3人の子どもを育てるシングルマザーは『休校で給食がなく、1日お米1升炊いても足りない。家計を圧迫している』と不安そうだった」
「緊急事態宣言が出てから必要なお弁当の数がかなり増えたが、資金がない」
「自宅待機になっている子どもがきちんと食事を取れるよう、希望する家庭に対してだけでも行政が給食を提供してほしい」
4割が休止・延期に
調査はNPO法人「全国こども食堂支援ネットワークセンター・むすびえ」などが4月13日〜17日、全国のこども食堂や各地のこども食堂のネットワーク団体に実施。35都道府県の231団体から回答があった。休校で食事が取れずこども食堂を頼みにする家庭が多いことや、弁当の配布や宅配の費用が膨らみ活動を続けることへの懸念を訴える声が寄せられた。調査では延べ71団体が困りごとに「食材や資金などの不足」を挙げた。
食堂の開催状況を尋ねる質問では、「休止・延期」の団体は38.5%で、開催しているのは10%だった。一方、食材や弁当の配布・宅配に切り替えた団体は46.3%に上った。
むすびえは政府からの臨時休校の要請が始まった3月以降、食材や弁当の受け渡し、宅配をするこども食堂などに寄付する食材と寄付金を募る緊急プロジェクトを開始。4月17日までに食品会社など13の企業・団体から支援を受け、全国のこども食堂などに届けている。
経営悪化の飲食店と連携も
4月24日に開いたオンライン報告会で、むすびえ理事長の湯浅誠さんは「こども食堂は、食事を提供するだけでなく安否確認や孤立防止、ストレス緩和といった役割も兼ねた活動。今後は、ひとり親などへの食材提供のほか、経営が落ち込んだ飲食店からの弁当の買い取りと必要な世帯への配布といったこども食堂の活動を支えるため、企業からの寄付を原資とした助成金を創設したい」と話した。
食品や寄付金を募る緊急プロジェクトは現在も受け付けている。