テナント料負担に苦しむ飲食業界「生き延びていけない」。支払いを猶予する法の整備を提言(新型コロナ)

外食産業経営者による有志の会「外食産業の声」が記者会見。
松田公太氏
松田公太氏
「外食産業の声」委員会Youtubeチャンネル

外食産業経営者による有志の会「外食産業の声」委員会は4月21日、記者会見を開いて、テナント賃料の支払いの猶予する「モラトリアム」法案の策定を求めた。

メンバーの元参議院議員でタリーズコーヒージャパン創業者・松田公太氏は、休業要請について「指示だと思っている。『店を開いてもいいけど、客を呼ぶな』と言われている状況が続いています。 その中で、外食産業は生き延びることはできない。非常に厳しい状況が続いている」と現状を訴えた。

その中でも、営業自粛や客の激減で売り上げが立たない飲食業界にとって、固定費であるテナント料の支払いが経営を圧迫しているという。

国交省はこれまでに支援策として、新型コロナウイルスの影響で賃料を猶予または減免した不動産オーナーに対して、社会保険料などの猶予や固定資産税などの減免をすると発表している

こうした支援策について松田氏は、現行制度では、オーナーが家賃を数カ月半額にした場合に、その損失よりも、免除される固定資産税や都市計画税の額が上回るケースが想定される場合もあると指摘。

「オーナーのメリットが大きすぎて、むしろテナントにはとってはマイナスになっている」場合もあるという。テナント料の負担軽減が不十分な場合もあることを踏まえ、「コロナの影響が長く続くことを考えるとやっていけるわけがない」と訴える。

その状況を乗り越えるため「家賃支払いモラトリアム法」の策定が必要だという。

提言する主なポイントは次の通り。

・不動産オーナーにテナントとの話し合いに応じることを義務化

 

・日本全体が厳しい状況なので、痛みの分かち合いという精神でまずは家賃の減免交渉に応じることを義務化

 

・不動産オーナーが銀行借入の問題等で減免も猶予も困難な場合は、テナントと不動産オーナーの合同で政府系金融機関に家賃の立替払いを申請(その際にテナント、オーナーの両サイドから決算書を提出)

手続きを終了後、速やかに金融機関が不動産オーナーに直接家賃を支払い その返済について基本的に1年後に開始。金融機関はテナントに対して求償権を持つが、リスク等が必要な場合は、引き続き、オーナーが参加しての話し合いを義務化する

記者発表にはZOOMで全国各地の飲食業者も参加し、各地の状況を訴えた。 

「外食産業の声」委員会によると、多くの飲食店の家賃比率は売り上げの15〜20%を占めている。新型コロナ禍で売り上げが立っていない店がほとんどで、家賃の支払いが重くのしかかっているという。

「外食産業の声」委員会は、各政党に対して「家賃支払いモラトリアム法」の策定を提言し、早期の法制化を求めて行く方針。

ネット上で署名を集めることを検討しているという。

松田氏は「このままでは失業率が爆発的に大きくなる。雇用を守りたい。外食産業はみんなその想いです。家賃は少なくとも猶予してもらい、できれば減免してもらいたい。最終的に国で考えてもらって、補償も含めてしてもらいたい。時間がないので、モラトリアムであればすぐできる。早急に実現して欲しい」と呼びかけた。

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