帝国データバンクは4月14日、新型コロナウイルスに感染した従業員がいると公表した上場企業は210社に及び、製造業やサービス業で多かったとする調査結果を公表した。業種によって、感染予防対策が取りにくい現状が浮かび上がっている。
4月13日までに、グループ会社や関連会社を含めて新型コロナウイルスに感染した従業員がいると公表した上場企業の内訳を調査した。
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もっとも多かった「製造業」は自動車メーカーなど70社で感染者が出ており、全体の3割を占める。次いで多かったのは「サービス」が38社で18.1%、「運輸・通信」「卸売」がともに19社で9%、「小売」が18社で8.6%だった。
製造業と建設業では4月13日までの11日間で企業数が2倍以上に増えており、帝国データバンクは「納期の厳しい建設や製造などの業種では感染者が大幅に増加、複数拠点で従業員が感染したケースも相次いだ」と背景を分析。
朝日新聞によると、清水建設では、東京都内の同じ建設現場で働いていた3人が感染し、うち1人が死亡。緊急事態宣言対象地域では全ての工事を原則中止すると発表している。
顧客と対面することが多い「サービス」「小売」で全体の4分の1を占めていることも特徴の一つだ。スーパーマーケットやドラッグストアは緊急事態宣言の休業要請の対象外で、営業を続けている店が多い。「社会のインフラ」であるこうした業種での感染対策は今後も課題だ。
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帝国データバンクは「各企業で感染症リスクに対する行動指針の見直し、適切な情報開示が急務」としている。