アメリカの新型コロナウイルス感染による死者は2万人を超え(4月12日5時時点)、イタリアを上回り、世界で最も多くなりました。
4月13日、クオモ知事によって死者が1万人を超えたことが発表されたニューヨーク州は、今から約3週間前、3月22日夜より外出禁止令が出され、現在も「ロックダウン」状態が続いています。
4月7日には東京も緊急事態宣言が出され、外出自粛要請、学校休校、リモートワークへの切り替えなど、ニューヨーク同様に「#STAYHOME」(家で過ごす時間)をいかに工夫するか、という課題に直面しています。
そこで、Peatixのニューヨーク本社でアプリの開発を手がける庄司望さんに、ロックダウン中の「心の健康」を保つためのヒントを聞きました。
人と人とが2m弱離れているロックダウン後の日常風景
庄司さんが妻と暮らすのは、ニューヨークのマンハッタンから地下鉄で30分くらい、ブルックリンのブッシュウィックというエリア。
マンハッタンのように人と車が溢れた街ではないが、耳をすませば救急車のサイレンが聞こえる。一方、近くの公園からはバスケットやピクニックを楽しむ人たちが消えた。
州政府が定めた「生活に必要な店」、スーパーや医療機関、薬局、ガソリンスタンドなどは開いていて、レストランはデリバリーやテイクアウトのみ。
庄司さん夫婦も基本的には毎日外に出て、人と接しないように(6フィート=約1.8メートルの距離を保つよう注意喚起されている)散歩したり、スーパーで必要な買い物をしたりしている。
スーパーの中には、朝のある決まった時間は「リスクの高い高齢者の方限定」というように入場制限をしている店もある。店内に入ったらマスク、手袋を着用し、距離を保ちながら、買い物するという。
300人がお洒落をして集まるZoomパーティー
「(ロックダウン中の生活で)一番辛いのは、親しい人に会えないこと。せっかく近所に友達が住んでいるのに、会えない。話したいのに話せない、ハグしたいのにハグできない。これが、思った以上にストレスが大きいです。
ただ、そんな風に感じているのはみんな一緒のようで、ビデオ電話で話したり、ミュージシャンの友達は演奏の様子をライブ中継したり、ヨガをやったり…オンラインでの繋がりが一気に増えました」
また、庄司さん夫婦が暮らす街にはアーティストやパフォーマーが多く住んでいて、スタジオやカフェ、クラブが点在。このような状況下で、そうした店で働く人やアーティストの中には収入が断たれてしまった人も多くいるという。
そこで、寄付を募ったり、彼らのサポートにつながるイベントやパーティーが、オンラインで毎晩のように開催されている。
「僕ら夫婦もロックダウン後は、毎週そうしたパーティーに参加しています。
オンラインだからといってお洒落やメイクも手を抜かず、部屋の照明をパーティー仕様にしてのぞむ。なかには、ミラーボールが回っている部屋なんかもあって、画面の向こうに広がるそんな景色を見るのも楽しい。
アメリカはもともと寄付文化ですが、こんな風にローカルのコミュニティ、小さなお店や身近にいるフリーランスの人を応援しようという機運が今まで以上に高まっています。おそらく日本でも、そうした思いを持つ人による具体的な動きが今後は増えるのではないでしょうか」
気持ちが落ち込んだら、ニュースやSNSは見ない
4週目に突入するロックダウン生活の中で、庄司さん夫婦は数日間に1回、どちらかが落ち込むことがあるという。
そして、そうならないために工夫しているポイントがこちら。
例えば、
「新型コロナウイルスに関するニュースやSNSをずっと見ない(1日2回、市政府が運営しているアラートメールや決まった時間のニュースなどで充分)」
「この状況が終わったことを考える」
「新しいことを始める、学ぶ」
「集中してものづくりする」
「家族や親しい友だちと話す」などだ。
なかでも、気軽に人と会うことができなくなったいま、「家族や親しい友だちと話す」ことは、とても大切だと感じている。
「家族やパートナーなど、同居人がいる人は、ちゃんと仲良くなっておく、わだかまりをなくしておくこと。
自分たちにとって、家族にとって何が一番大事なのか、何かあった時の対処の仕方や、誰に連絡をしなきゃいけないのかなど、同じ屋根の下に住んでいる同士、有事の時は助け合わなければいけないので。ちゃんと話し合っておくことが大切だと思います。
気軽に友だちと会えなくなったいまこそ、たまにビデオ電話で話しましょう。
大人になったら用事がある時くらいしか連絡をとらなくなったりしますが、学生時代に戻った気分でメールを入れてみたり…必要なことかもしれないですね」