坂本龍一さんがライブを無料配信 外出自粛に「少しでもエールを」

イベント中止や「自粛疲れ」で塞ぎ込む人たちへ。「コロナに負けないで」と、世界的音楽家が演奏に思いを乗せた。
坂本龍一氏
坂本龍一氏

坂本龍一「コロナに負けず、頑張ってほしい」 エールを込め名曲を生配信披露

音楽家の坂本龍一が2日、映像配信サービス「dTV」で一夜限りのプレミアムライブ『Ryuichi Sakamoto: PTP04022020 with Hidejiro Honjoh』を無料生配信にて緊急開催した。


 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策のため外出禁止令が世界中で発令され、坂本はその状況を受け2月下旬にも中国向けに2つのプログラムで無料配信を行った。日本国内でも外出自粛の機運が高まっている現状を受け、「少しでもエールを送りたい」との想いから今回の生配信ライブが開催された。

 会場では医師によるアドバイスのもと、感染防止対策として「密閉」「密集」「密接」の3つの密を避け、スタッフも必要最低限の人数に絞り、メディカルチェック・アルコール消毒・マスク着用を徹底。控室などの除菌作業も行った上でライブを実施した。

 午後7時、静かな緊張感が漂う中、2017年に発売された坂本のオリジナルアルバム『async』の1曲目に収録されている「andata」のピアノソロでライブはスタート。演奏が終わると、「マスクをとるの忘れちゃった」とお茶目な一言で挨拶をし、今回のライブについて、通常の公演であればたくさんのスタッフが関わっているが今は働けない状態の人もいるとし、「ポジティブにこの時間を使ってほしい」と述べた。

 ライブは三部構成となっており、オープニングに続き坂本のオファーにより出演を快諾した三味線奏者の本條秀慈郎がゲストとして迎え入れられた。2019年に坂本が書き下ろした楽曲「honj II-2019」が演奏されると、三味線から奏でられる音が心地よく鳴り響く。次は「improvisation -20200402」と題し、坂本がピアノの中の弦を石やコインなどで擦る内部奏法や、40年振りに復元されたベルナール&フランソワ・バシェの音響彫刻、エレキギターなどが三味線の音に加わり、この日限りの即興デュオが披露された。

 ここでライブは一度中断し、新型コロナウイルス感染防止対策のため5分間の換気休憩が入れられた。休憩中は、“3学会合同日本 COVID-19対策 ECMOnet”からの新型コロナウイルスに関するメッセージが映し出され、会場に医師を招き、坂本と新型コロナウイルスについて対談の時間が設けられた。

 そして、坂本のピアノソロによるエンニオ・モリコーネのカバー曲「1900」でライブが再開。映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』のテーマ曲「Gui」や、ファンの中でも不動の人気を誇る「水の中のバガテル」や「美貌の青空」、1999年に発売されミリオンセールスを記録し、CM曲にも起用された「energy flow」、映画『戦場のメリークリスマス』から「Merry Christmas Mr. Lawrence」など、心に染みわたる名曲の数々が存分に届けられた。

 最後は、改めて「コロナに負けず、頑張ってほしい」と強いメッセージを残し、エンドロールとして、「Perspective」でライブを締めくくった。

 同ライブの模様は、近日dTVにて配信されることが決定しており、詳細は後日、公式ホームページにて発表される。

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