世界中で感染が広がる新型コロナウイルスは、イギリスでも急速に感染拡大しており、3月23日からは外出制限措置が行われている。
そんなイギリスのスーパーで、買い溜めに走る客が、店員に対し唾を吐くという事件が発生した。他にも、店員が「ウイルスに感染して死ねばいい」などの暴言を受けたという。
目撃者によると、イギリスのマージーサイド州のスーパー「アスダ」で21日、30代の男性が購入制限数以上のインスタント麺を買おうとしていた時に発生したという。
レジをしていた40代の女性店員が購入制限を主張すると、「男性はそれに抗議し女性に唾を吐いたのです」と事件を目撃したアンディ・スミスさんは話す。
その後、その男性は何も買わずに店を後にしたという。
「今人々は、コミュニティーの団結や助け合いよりも、トイレットペーパーや食品の確保に夢中です。これは大きな問題です」とスミスさんはハフポストUK版に語った。
このような出来事は氷山の一角でしかない。スーパーの店員は、空っぽの棚や購入制限に憤慨する客にひどい嫌がらせなどを受けているという。
イギリスの環境相は、大量の食料が買い溜めされている状況を受け、国民に対し「責任のある買い物を」と呼びかけている。
10年以上勤務している同スーパーの店員は、この状況を一言で「恐ろしい」と表現する。「人々の買い物の仕方、私たちが受ける暴言など、それはひどいものです。こんな経験はこれまでありません」
彼女は、店員たちは常に暴言を受け、ある同僚が購入制限を主張すると、「ウイルスに感染して死ねばいい」と言われたという。
「私たちは1日中、常に最前線にいてとても怖い。誰もスーパーで働きたくないけど、仕事がある。他に誰がやってくれるというのか?」
「入店できる人数を制限してほしい。混雑しすぎており、ソーシャルディスタンス(感染を防ぐために、人と距離を保つこと)は全く保たれていない」と店員らは話す。
他のスーパーでも同様に、店員たちは暴言を受け、恐怖を感じているという。
店員が唾を吐かれた事件は国会でも指摘され、内務相は「販売員の保護は、真っ先に取り組まなければならない重要課題の1つだ」と述べている。「この一件は犯罪で、警察に通報されるべきで、いますぐ適切な措置が取られるべきだ」と話した。
同スーパーは、今後も衛生状況を維持できるよう常に対策をアップデートしていくと話し、イギリスの他のスーパー「セインズベリーズ」でも、店員と客の安全を守るための対策を強化していくとしている。
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。