新型コロナウイルスの感染拡大への懸念が世界的に強まる中、東京の桜が3月22日に満開になった。好天に恵まれた3連休は、各地で家族連れやカップルなど小規模な花見客で賑わったが、海外からは懸念の声も上がっている。
AFPが3月22日に配信した動画では、上野公園の桜の下を行き交う人々の姿に「新型コロナウイルスにも止めらない」というテロップをつけた。
アルコールを片手に「桜最高!日本人で良かった」と宴会するグループの様子を「政府からの警告にも関わらず、酒を飲むために集まった」と伝えた。取材に応じた男性の「思ったよりも人がいる。いつもだったら毎週(花見)をやっていたけれど、今日だけと決めて来た」というコメントも紹介されている。
ウェザーニュースが3月2〜3日に行なった調査では、新型コロナの影響で今年の花見を「控える」と回答したのは39%にとどまっている。「例年通り花見をする」は28%、「花見はするが一部変更」と回答したのは33%で、人混みを避けるなどの対策は取るものの花見自体は行うとする回答が多数を占めた。
海外では外出禁止令違反の取り締まりも
世界各国では、新型コロナウイルス感染症をめぐる対応を強化している。
外出禁止や自宅待機を求める動きは、フランスやイタリアなど欧米をはじめ世界各国に広がり、外出禁止令に違反した人への取り締まりも続いている。
イギリスでも3月23日にジョンソン首相が、公共の場で3人以上が集まることを禁じる「外出禁止令」を発令し、違反者には警察が罰金を科したり解散命令を出したりすると警告。これに先立ち、パブなどの飲食店や劇場などの社交場には閉鎖も要請されている。
WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は23日の定例記者会見で「パンデミックは加速している」と述べた。
小池知事「ロックダウン」の可能性に言及
一方、日本では自粛ムードが緩みつつあるようだ。
3月19日の専門家会議では大規模イベントの開催について「主催者がリスクを判断し、慎重に対応を求める」としたが、3月22日にはさいたまスーパーアリーナで格闘技イベント「K-1 WORLD GP」が開かれ、約6500人が観戦したという。
東京都が公表している朝の通勤時間帯の都営地下鉄の利用者数は、2月25日以降減少を続けていたが、3月16〜18日には3週間ぶりに増加している。
東京都では3月23日に新たに16人の新型コロナウイルス感染が確認された。
小池百合子都知事は同日の定例記者会見で「今後3週間がオーバーシュートが発生するか否かの大変重要な分かれ目」としたうえで、「今後の推移によっては、都市の封鎖、いわゆるロックダウンなど、強力な措置をとらざるを得ない状況が出てくる可能性がある。何としても避けなければならない」と気を引き締めるよう呼びかけている。