新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、映画界にも及んでいる。
このまますべての映画が公開延期の流れになってしまうのだろうか。今後の他の注目作の対応について、配給会社に聞いてみた。
公開延期となった作品の共通点は、“家族向け”・“子ども向け”
まずは、3月2日時点で公開延期が発表された主な作品についてまとめる。
【ディズニー/ピクサー】
・『2分の1の魔法』
・『ムーラン』
【その他】
・『映画しまじろう しまじろうと そらとぶふね』
・『映画ドラえもん のび太の新恐竜』
・『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』
ウォルト・ディズニー・ジャパンの担当者は、公開延期の判断について「新型コロナウイルスの感染状況と予防対策の観点からこのような決断に至りました。特にディズニー・ピクサー作品は、ご家族揃って来場されたり、お子様がご覧いただく機会も多い。観賞いただく皆さまの安全と健康を第一に考えての決定です」と理由を明かした。
その上で、『2分の1の魔法』は近日公開、『ムーラン』は5月22日公開とスケジュールを変更した。
ドラえもんなど上記の【その他】の作品については、公開日は未定だ。
ディズニー側の話にもあったが、公開延期となった作品をみてみると、子ども向け映画やアニメーション作品が多い。
各地で一斉休校の措置が取られる中、子ども向け映画の公開に踏み切るわけにはいかないといった事情もあるかもしれない。
“大人向け”の映画は「通常通り公開予定」
一方、“大人向け”の作品については、事情が少し異なる。
今後の注目作では例えば、シリーズに多くのファンがいる『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、予定通り4月10日に公開を予定している。
同作品を配給する東宝東和株式会社の担当者に取材をしたが、「公開日の延期などの検討は、現段階で入っておりません。通常通り公開予定です」としている。
2作品の公開延期に踏み切ったディズニーも、5月1日に公開予定のマーベル最新作『ブラックウィドウ』については「もちろん今後の状況次第ではありますが、今のところ公開延期の予定はない」としている。
東宝東和やディズニーなど2社は、4月以降も2020年の注目作を配給予定で公開作品が“詰まっている”状態。
1つの作品の公開が延期となることで、その後の公開作の宣伝戦略やスケジュールを立て直さざるを得なくなるなど影響は避けられないため、公開できる作品はできる限りしていくというスタンスを取っているとみられる。
厚生労働省は3月1日、「換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まることを避けてください」と国民へお願いを発表したが、1人の感染者が複数に感染させた事例として、“映画館”の固有名詞は入っていなかった。
興行収入の面で影響はあるとみられるものの、このままいけば、映画館が閉鎖されない限りは予定通りの公開を迎える作品はありそうだ。