新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、卒業式や入学式などの式典を中止にしたり、規模を縮小したりする学校が出てきている。文部科学省は一律での中止は求めていないため、学校ごとに検討が進められている状況だ。
各地でイベントの中止や施設の休館が発表される中、規模によっては1000人以上が集まる式典をどう運営するか、各校が苦慮している。
NHKによると北海道千歳市の日本航空専門学校は、2月23日に行われた卒業式では保護者や来賓が出席しないようにし、インターネットで中継する対応を取った。保護者や来賓は飛行機や鉄道を使って各地から集まることを考慮したという。
秋田魁新報によると、秋田市の国際教養大は2月25日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月21日の卒業式と4月8日の入学式を延期すると発表した。
静岡市の常葉大学・常葉大学短期大学部は、3月14、15日に開催を予定していた卒業式・修了式のうち、卒業生全体が集まる式典の開催を取りやめ、学科別で卒業証書の授与を行うと発表。
大分県別府市の立命館アジア太平洋大学も、3月の卒業式と4月の入学式の開催を中止することを決めた。学生の約95%は県外、世界各地から訪れることを考慮したという。
仙台育英学園高校は、例年のように大人数が集まる卒業式の実施は「濃厚接触による感染の可能性が拭いきれない」とし、保護者や来賓、在校生は出席せず、各学級で卒業証書を手渡すという。
この他、卒業式や入学式は開催予定でも、マスクの着用を求めたり、謝恩会やパーティーなどは中止を決めたりする学校もある。
また、北海道新聞によると、北海道教育委員会と札幌市教育委員会は2月24日、道内の児童に感染者が出たことから、公立の小中学校、高校の卒業式について、出席者を少なくしたり、開催時間を短くしたりするよう各学校に要請する方針を決めた。
ネット上では「卒業式が中止になった」という声が複数上がっているほか、「中3高3の子がいます。新型コロナ感染対策として卒業式を中止してほしい」などと学校の対応を求める人もいる。
日本経済新聞によると、萩生田光一文科相は2月21日の記者会見で卒業式について「現時点で、一律中止を求めることは考えていない」としており、感染が確認されている地域では実施方法の変更や延期などを検討するよう求めたという。