4月からの保育園などへの入園可否を知らせる通知が保護者に届き始め、ことしもツイッターなどで「#保育園落ちた」という親たちの悲痛な声が上がっている。
そんな中、東京都は待機児童対策として行う「ベビーシッター利用支援事業」の2020年度版の利用案内を発表。これまで1時間250円だった利用者負担が、4月以降は150円になるという。
安くても1時間1000円以上はするベビーシッターを150円で利用できるというのは破格だが、助成を受けた分は、利用した人の雑所得になる仕組み。そのため、使うほど税金が高くなることが注目され、ネット上で疑問の声が上がっている。
この事業は、0〜2歳児で待機児童になっている子どもの保護者や育児休業から復帰する保護者が利用できる。都が認定した事業者でベビーシッターを利用すると、実際にかかる価格(上限1時間2400円)と150円(4月以降)の差額を都や市区町村が負担する仕組みだ。
都によると、2月14日現在、都内の14市区で利用でき、2019年末の時点で250人が登録しているという。
ハフポスト編集部では、東京都の担当部署に取材した上で、実際どの程度追加の税金がかかるのか調べた。
試算してみると…
1日8時間×月に20日=160時間利用した場合の試算をしてみよう。
時間給2400円(制度の上限利用料)のベビーシッターを助成なしで利用した場合にかかる月額
2400円×160時間=38万4000円(A)
制度利用者の月負担額
150円×8時間×20日=2万4000円(B)
AとBの差額=都・市区町村の負担額=月々利用者の雑所得になる金額
38万4000円–2万4000円=36万円
よって、年額にすると36×12=432万円の雑所得になる。
では、実際にどの程度税金が上乗せされるのか。
都の試算では、
年収300万円の人が、上で試算したように月160時間利用した場合、月5万9200円
となっている。
よって、
年収300万円の利用者が、税金を含めて保育のために払う月額
2万4000円(制度を利用し支払った利用料)+5万9200円(税金)=8万3200円
となる。
助成なしで利用した場合は月に38万円以上かかることを考えれば安いが、「月2万4000円」というイメージで利用すると、差が大きいのは事実だ。
助成された額が雑所得になってしまうのは所得税法上の問題で、都としては国に対して改善するよう求めているという。
都の担当者は「事前に必ず税制についての説明・確認はしているので、使っている方で知らない方はいない。ただ、詳しくない方にとっては、分かりづらい部分もあるかもしれない」とした上で、「助成を受けていただいた方が、金額的には安くなるのは間違いない。待機児童対策、様々な子育て家庭のニーズに応えるため、これからも工夫して制度を運用していきたい」としている。