小泉進次郎環境大臣の育休取得が話題になっている。
日本の現役閣僚の育休取得は初めてで、海外メディアからも、男性の育休所得が少ない日本での彼の決断に「これは一大事だ」などと報道されたが、国内の意見は賛否両論だ。
キャリアや社内の空気を気にして、育児休暇を取る決心がつかないという父親たちに良いお知らせだ ー 父親が育児休暇を取った場合、その家族関係は長続きする傾向にあるという最新の研究結果が出たのだ。
2019年11月に社会政策に纏わる専門誌「Journal of Social Policy」で発表された、アメリカの調査によると、最大2週間の育児休暇を取った父親は、全く取っていない父親と比べて、子どもが生まれてからその後6年間のパートナーとの関係の継続率が25%高いことが分かったそうだ。
家族の絆を強める効果も
研究者は、育児休暇を取ることは親子間の絆を強める効果と同時に、出産をしなかった側の親も仕事を離れることで、パートナー同士の絆も強まるという。
この研究にも加わった、インディアナ州のボールステイト大学で社会学の教授を務めるリチャード・ペッツ氏はカナダ紙のThe Globe and Mailに「得るものがどうであれ『自分は家庭を優先する。仕事が全てでは無いんだ』と示す行動自体に、象徴的な意味があります」と語った。
「その行動だけでも、家族を優先する父親としての積極的な姿勢を示すことに繋がり、その後の親子関係にも長きに渡って影響を及ぼしてくれます」とのことだ。
しかし、研究者は3週間以上の育児休暇によって得られる更なる効果の発見は得られなかったという。
カナダの首都トロントに拠点を置き、『The Time Has Come -Why Men Must Join the Gender Equality Revolution-』の著者でもあるマイケル・カーフマン医師は以前、ハフポスト・カナダ版の取材に育児休暇を取る父親について以下のように言及している。
「(育児休暇を取った父親には)この先ずっとの糧になる面倒見の良さや責任感を持って子どもを育てる能力が身に付きます。親としての自身を早く身につけ、母乳をあげること以外できないことはない、母親同様にうまくできる、と気づくのです」
更に「母親にとっても『(自分の他にも)ちゃんと子どもの面倒を見てくれる人がいる』という安心を得るために大切なことです」と加えた。
経済的な安定にも
同研究を行なった複数の研究者によると、育児休暇を取った父親は「母親への負担を減らし得る」ことも分かったという。これにより母親が望む場合の職場復帰や、それに伴う経済状況の向上、更に”母親業”のプレッシャーの緩和や、家事負担の軽減も期待できるかも知れない。
進まぬ日本の男性育休
日本の育休制度は、子供が1歳に達するまで(場合により最長2年)、申し出により育児休業を取得することができる。父母が共に取得する場合は、子供が1歳2カ月に達するまで取得可能な「パパ・ママ育休プラス」という制度もある。その間、一定の要件を満たす場合には、その間は休業開始時賃金の67%の給付金が支給される。(6カ月以降は50%)
政府は男性の育休取得率の増加を目指しているが、2018年度の取得率は過去最高となったものの、約6.16%にとどまった。女性の取得率は2018年度で82.2%だった。ちなみに、男女平等の先進国、フィンランドでは男性の育休取得率は8割を超える。
企業では「男性育休100%宣言」プロジェクトなどまとまった動きも出てきている一方、育休取得後、復職の際に望まない転勤を命じられた「パタハラ」の疑惑なども浮上している。
小泉大臣の育休取得により空気は変わるのか?
今後、育休取得を検討する男性は、今回の調査結果を是非思い出してみてはどうだろうか?
ハフポストカナダ版を翻訳、編集、加筆しました。