「誰にでもチャンスはある」。スーパーボウルのサイドラインに立った日本人が伝えたいこと

49ersのオフィシャルカイロプラクターとしてチームを支える、横浜市出身の原田智也さん(42)。試合から一夜が明け、ハフポスト日本版の取対に応じてくれた。
試合中、サイドラインで選手をケアする原田智也さん(2019年8月19日、米・コロラド州デンバー)
試合中、サイドラインで選手をケアする原田智也さん(2019年8月19日、米・コロラド州デンバー)
Michael Zagaris via Getty Images

スーパーボウルといえば全米が熱狂する年に一度の祭典。この舞台に、惜敗した49ers(フォーティナイナーズ)の一員として立った日本人がいたことはあまり知られていない。

49ersのオフィシャルカイロプラクターとしてチームを支える、横浜市出身の原田智也さん(42)。アメリカでは、Dr.Tomo Haradaの名前で親しまれている。

49ersとの契約は2016年から。原田さんの仕事は、選手の治療やリハビリ、怪我の予防、パフォーマンスの向上をスポーツ医学の面から支えることだ。

スーパーボウルの試合では、原田さんもチームの一員としてサイドラインに立った。

一夜が明けた原田さんは、ハフポスト日本版の取対にメールで回答してくれた。

「緊張の糸が張り詰めていた」

ーースーパーボウルの雰囲気、どうでしたか?レギュラーシーズンとは、気持ちの上で変化はありましたか?

ポストシーズンはレギュラーシーズンとあまり変わった感じはなかったですが、マイアミに来てから警備も格段に厳しくなり、緊張感も増していきました。当日は、凄い緊張の糸が張り詰めてました。

ーー原田さんご自身はどうでしたか?

変化はあまりないですね。僕はリラックスしてました。僕は選手が常にベストのコンデイションでゲームに挑めるよう努力するだけです。

スーパーボウルの49ers。オフィシャルカイロプラクターとしてチームを支えるのが原田さんの仕事だ。
スーパーボウルの49ers。オフィシャルカイロプラクターとしてチームを支えるのが原田さんの仕事だ。
Icon Sportswire via Getty Images

 泣き崩れた選手たちに全員に「よく頑張ったね」

ーー試合後、選手たちとはどんな話をしましたか?

選手はみんな泣きくずれていたので。よく頑張ったね、と選手全員に言いました。

ーー原田さんの仕事のやりがいを教えてください。

選手の怪我やパフォーマンスの向上がデータから見れて、選手からありがとうと言われる時です。

ーー逆にしんどいと思うことはありますか?

しんどいと思う事はあまりありませんが、試合に負けるとどっと疲れが出ます。

ーースーパーボウルを終えて、原田さんのこれからの夢はなんですか?

僕の夢は変わらず、選手のベストのコンデイションに少しでも役立てるよう勉強します。

元ルームメイト「心から尊敬」

「プロスポーツに関わる仕事をしたいと思っていた」という原田さんは、「学ぶのであれば最先端のアメリカがいい」と、米カリフォルニア州にあるカイロプラクティックの名門、パーマー・カレッジ・オブ・カイロプラクティックを卒業した。

パーマーに入学するために、カナダ・バンクーバーに語学留学。カナダ時代のルームメイトだった小川伸也さん(37)は、原田さんについて「とにかく、すごく熱い人です」と語る。

「当時は英語がそれほど得意そうではなかったけれど、絶対にパーマーに行くんだ、とすごい熱意でした。今では、カリフォルニアで開業して、アメフト以外にもスポーツ選手を見るようになっていて、家庭も持ってる。心から尊敬しています」

年上の原田さんを、小川さんは『兄さん』と呼ぶ。

試合前にやりとりしたメッセージは、49ersの選手たちについての内容が多く、チームを大事に思い、全試合に帯同できることを喜んでいるようだったという。試合当日の朝には「楽しんで」とメッセージを送ると、「ありがとう」と返ってきた。

日本の若者へ「誰にでもチャンスはある」

遠い世界のように思えるスーパーボウルに立った原田さん。日本の子どもたちに、とメッセージを寄せてくれた。

「どのような環境に生まれても誰にでもチャンスはあるので、ポジティブに色んなことに挑戦してほしいです」

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