孤独感は全ての人が経験する悩みで、うまく付き合っていかなければいけないものだ。1万人を対象にした最新の調査によると、61%が「孤独な状態」にあると感じているという。
孤独感というのは気持ちのことで、独りでいること自体よりも、独りに「感じる」ことにより関係する。そのため、職場や学校、友人関係や恋愛においても孤独を感じてしまうのだ。孤独感は関わる人数というよりも、感情的な繋がりの深浅に関係している。『Leaving Loneliness』の著者で心理学者のDavid Narang氏はハフポストUS版にそう語る。
「部屋いっぱいに家族や友人がいたとしても、自分が本当に考えていることや感じていることを誰も知らなかったら、孤独感を覚えてしまいます」と彼は説明する。「もしその場に1人でも本当の考えや感じていることを知っている人がいれば、孤独感は大きく軽減されます」と言う。
多くの人が時折、孤独を経験しているが、普遍的で長引くタイプの孤独感は増加傾向にあるようだ。
メンタルヘルスに関するプロであるセラピストや、管理職を指導するコーチのメーガン・ブルノー氏でさえ孤独に直面する時がある。彼女の孤独感は多くの場合、重苦しさと絶望感と共に訪れ、それは羞恥心に変わっていくのだという。
「孤独と恥じらいによって『自分はどうかしていて、愛されるに値しないんだ。いっそのこと自分独りの安全圏にいる方がいい。だってもし周りが本当の自分に気づいたら、誰もいてくれなくなってしまうだろうから』と思ってしまうんです」とブルノー氏は明かした。そして「でも最近は、時々やってくる孤独をより理解し、味方につけて自身をサポートできるようになりました」と続けた。
今回、ハフポストは孤独感に襲われた時の対処法をメンタルヘルスの専門家たちに聞いてみた。簡単に取り入れられるものが多いので、是非自分に合いそうなものを試してみてほしい。
1. 自分の孤独感を批判しない。
「孤独を感じること自体は辛いもの。でもその苦しみは、その感情(孤独感)を自分で批判してしまっていることが原因なんです」とブルノー氏は言う。
「孤独を感じた時に経験する苦しみの殆どは、私たちが自分自身をジャッジしたり、『自分はダメな人間だ』と見捨ててしまうことで自ら作り出す羞恥心や恐れに伴っているのです。『自分は落ちこぼれで、どうかしていて、それは孤独だからだ』とか、『自分は孤独で、それは自分が誰にも愛されないからだ』などと思ってしまうのです」
そこで代わりに、自分を批判する代わりに自分自身に同情する練習をしてみてほしい。「『今、孤独を感じてても不思議ではないよ。人間はみんな、この繫がりのない世界で、繋がりに焦がれているんだから』と自分に言って見てください」と彼女は勧める。
2.「孤独感は自然なもので、ずっと続くわけじゃない」と知る。
「その気持ちはいつか過ぎ去る、ということを覚えておいてください。異常行動の前兆なんかじゃありません。今もあなたと同じように孤独を感じてる人が沢山いるんです」とブルノー氏は話す。
3. 自ら誰かと繋がってみる。
家族と電話をしてみたり、久しく会っていない友達とコーヒーを飲みに出掛けたり、感じている孤独に関してSNSで共有してみるのも良いだろう。
「羞恥心というのは『あなたは愛されていなくて、誰もあなたの声なんて聞きたくない』と語りかけてきますが、そんなのは嘘だと思い出して繋がりを築くことで、気分を持ち直せますよ」
4. 自然に触れる。
「近くに自然のある場所や公園があるならば、散歩に出掛けてみるのも良いでしょう」と語るのは孤独を打開するためのアートに纏わる組織、The UnLonely Projectの創設者のジェレミー・ノーベル氏だ。
更にブルノー氏は、動物と触れ合うことも効果的だと加えた。
5. 携帯に割く時間を減らす。
インスタグラムを見る時間が長い人は誰かと直接、顔を合わせての交流を優先して増やしてみると良いだろう。
「SNSで選び抜かれたキラキラの写真ばかりを長時間に渡って見ていると、自分と比べてしまってより孤独に拍車が掛かってしまいます」とナラン氏は語る。「しかし逆に、SNSを使って誰かをランチに誘うなどの使い方は、プラスになります。そのようなSNS活用法は、孤独感を軽減するという結果が出ています」と続けた。
6. クリエイティブなことをする。
「芸術に関する試みは、孤独を感じている心を清らかにしてくれます」とノーベル氏は言う。
「息を飲むような美しい詩を読んだり、素敵なスカーフを縫ってみたり、自分の感情を絵や彫刻で表現すれば、苦しみが美しいものに変身しますよ」
7. 自分のことを本当に愛してくれている人のことを考える。
自分のことを本当に想ってくれている人のことを思い浮かべてみて「どうしてこの人が自分のことを想ってくれていると思うのだろう?」「どんな風にその想いを伝えてくれているだろう?」「その人がいてすごく助かったのはいつだろう?」と自問してみてほしい。
「その愛情に値し、それを受け取ることができるのは、相手の優しさだけでなく、他ならぬ自分自身のお陰です。あなたにその価値があるからこそ、愛されているのです」とナラン氏は語る。
8. 見知らぬ人と、ちょっとした繋がりを築く。
ナラン氏は、道行くフレンドリーそうな人に微笑んでみたり、誰かの為にドアを開けたりなど、ちょっとした親切な行いも、他者の存在を身近に感じさせてくれる、と話す。
「例えば高速道路で、車線変更したい他の車に自分の前を譲ってあげた時、その親切を受け取った側の気持ちを想像してみてください」と彼は続けた。「スーパーのレジ店員に優しく接してみるなど、そういう小さな行いが他人を喜ばせたり、自分や他人の心を開くきっかけになり得るのです」
9. 何かのクラスやグループ活動に参加する。
定期的に集まりのあるクラスや団体に入って、深い繋がりの「タネ」を新たに植えてみるのも良い。ボランティア団体やビジネス団体、料理教室や読者会など、興味あるものならなんでも良い。
「クラスや活動を通して、色々なことを感じるでしょう」とナラン氏は言う。「簡単にその気持ちや経験(特別に好きだった事や興味を持った事)を誰かと共有すれば、あなたのことを知ってもらうキッカケになります」とのことだ。
10. あなたの孤独が意味するものを考えてみる。
少し苦に感じるかもしれないが、無理に押し退けようとせず、その孤独を甘受してじっと座り込んでみよう。
「孤独感から生じる不快感が、あなたの感情や思考、そして身体にどのような影響を及ぼしているのかを感じてください」とナラン氏は話す。「数分すれば、実際に自分が今後どのような行動を取っていきたいかがしっかりと見えてくるかもしれません。落ち着いた心から生まれる考えは、ストレスによって浮かんでくる考えよりも効果的な事が多いのです」
助けを求めるタイミングは?
繰り返しになるが、孤独感を覚えることは極めて自然なことだ。孤独を感じたからといって、その人がなにか「間違っている」わけでは決してない。しかし孤独感が長く続き深刻化している場合は、助けを求める頃合いかもしれない。
「孤独は無期限に続く状態ではない」とナラン氏も話す。「孤独感を長い間そのままにしてしまうと、深刻な健康問題になり、鬱にも繋がる可能性があります」という。
自分を更に孤立させて独りにしてしまうより、周りや専門家など、自分のコミュニティを作り、周りと健康的な繋がりを築き上げる上で力になってくれそうな人たちに相談してみよう。
「頻繁に孤独感に精神を苛まれているのであれば、家族や友達に相談したり、カウンセラーやメンタルヘルスの支援機関に助けを求めることによって、現状は改善されるかもしれません」とノーベル氏は話す。
ハフポストUK版を翻訳、編集、加筆しました。