東大、「中国人は採用しません」ツイートの大澤昇平氏を懲戒解雇。「決して許されるものではない」

懲戒解雇された大澤昇平氏は「中国人は採用しません」などと人種差別と受け取られるような投稿をTwitterで繰り返し、批判を受けていた。

東京大学は1月15日、「国籍又は民族を理由とする差別的な投稿をした」などとして同大大学院情報学環の大澤昇平特任准教授を同日付けで懲戒解雇処分としたと公表した

大澤氏は自身が経営する会社で「中国人は採用しません」などと人種差別と受け取られるような投稿をTwitterで繰り返し、批判を浴びていた。

東京大学の安田講堂
東京大学の安田講堂
時事通信社

東京大学は公表文で、大澤氏が自身のTwitterアカウントのプロフィール欄に「東大最年少准教授」と記載して(現在は変更済み)、以下の5つの投稿を行ったと認定。東大職員の就業規則に違反したと判断した。

(1) 国籍又は民族を理由とする差別的な投稿


(2) 本学大学院情報学環に設置されたアジア情報社会コースが反日勢力に支配されているかのような印象を与え、社会的評価を低下させる投稿


(3) 本学東洋文化研究所が特定の国の支配下にあるかのような印象を与え、社会的評価を低下させる投稿


(4) 元本学特任教員を根拠なく誹謗・中傷する投稿


(5) 本学大学院情報学環に所属する教員の人格権を侵害する投稿

同大学は憲章の前文で、『構成員の多様性が本質的に重要な意味をもつことを認識し、すべての構成員が国籍、性別、年齢、言語、宗教、政治上その他の意見、出身、財産、門地その他の地位、婚姻上の地位、家庭における地位、障害、疾患、経歴等の事由によって差別されることのないことを保障し、広く大学の活動に参画する機会をもつことができるように努める。』と明記している。

その上で、懲戒解雇という処分の理由を以下のように説明した。

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で、「東大最年少准教授」の肩書きのもとに国籍・民族を理由とする差別的な投稿がなされたこと、また本学の元構成員、現構成員を根拠なく誹謗・中傷する投稿がなされたこと、それによって教職員としての遵守事項に違反し、ひいては東京大学の名誉又は信用を著しく傷つけたことは誠に遺憾です。

 

このような行為は本学教職員として決して許されるものではなく、厳正な処分をいたしました。

懲戒までの経緯と差別的な投稿を振り返る

大澤氏は東京大学・松尾豊研究室で人工知能とウェブに関する博士号を取得。世界中の開発者が協力してAIを制作できるプラットフォーム「Daisy」を開発するための株式会社Daisy代表取締役CEOを務めている。

事の発端は2019年11月20日、大澤氏がTwitterで「弊社 Daisy では中国人は採用しません」「中国人のパフォーマンス低いので営利企業じゃ使えないっすね」などと投稿

このツイートを見たとみられるユーザーからは「人種差別ではないか」などと批判が相次いでいた。

これを受け、大学側は2019年11月24日に「書き込みは大変遺憾」とする見解を発表。28日には、同件についての調査委員会を設置していた。

大澤氏が特任准教授として当時受け持っていた「情報経済AIソリューション寄付講座」は、企業からの寄付で運営されていたが、この事態を受け、寄付元のマネックスグループ、オークファン、大広の3社は、いずれも該当講座の寄付を停止するなどの措置をとっていた。

その後、大澤氏は12月1日にこの一連の投稿についてTwitterで謝罪していた

大学側は、「社会的責任にかんがみ、今回の事態を厳粛に受け止めております。今後二度とこのような行為がおこらないよう、倫理規範を全教職員に徹底するとともに、教員採用手続や組織運営の在り方を再検証するなど、全学を挙げて再発防止に努めます」とコメントしている。

一方、大澤氏はTwitterで「処分は不当だ」とコメント。「日本の AI 技術の発展を軽んじ、アジア諸国の多様性を重んじた東大の対応は明らかに間違っている」と綴っている。

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