日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡した問題で、前会長が起訴された事件の弁護団の1人である高野隆弁護士が1月4日、自身のブログを更新した。
ゴーン被告の密出国について、「裏切られたという思いである」と綴る一方、「全否定することはできない」として自身の見解を示し、日本の司法制度に対しての苦言も呈した。
高野隆弁護士は4日、『彼が見たもの』というタイトルで、東京拘置所に拘禁されていた際のゴーン被告とのやりとりを詳細に綴っている。
ゴーン被告の密出国については、2019年の12月31日の朝に知ったことを明かし、「まず激しい怒りの感情がこみ上げた。裏切られたという思いである」と綴る一方、「一つだけ言えるのは、彼がこの1年あまりの間に見てきた日本の司法とそれを取り巻く環境を考えると、この密出国を『暴挙』『裏切り』『犯罪』と言って全否定することはできない」として独自の見解を示した。
さらに、ゴーン被告は拘置所に身柄を拘束されていた当時、すぐに保釈金を納付しても釈放されなかったことや妻のキャロルさんとの接触を禁止されたことなどから日本の司法制度に大きな不安や疑問を感じ、高野弁護士に頻繁に質問していたという。
高野弁護士はブログの結びで、「(ゴーン被告の密出国は)寂しく残念な結論である。もっと違う結論があるべきである。確かに私は裏切られた。しかし、裏切ったのはカルロス・ゴーンではない」と綴り、日本の司法制度に対して苦言を呈した。
一方、ゴーン被告の弁護団の1人の弘中惇一郎弁護士は4日、東京都内で報道陣の取材に応じた。
毎日新聞デジタルは、ゴーン被告が以前使っていた携帯電話の通話記録と、面会簿を東京地検に任意で提出する方針を固めたと報じた。
さらに、検察からゴーン被告が使っていた事務所のパソコンや弁護団が預かっている旅券の提出も求められていることを明かし、今後の検討するとしたほか、自身の辞任については「本人の意向を踏まえて決める」と話したという。