新国立競技場、観客の前で、そのピッチを初めて踏んだのはカズだった。
東京オリンピック・パラリンピックの会場となる新国立競技場(東京都渋谷区)のオープニングセレモニーが12月21日、開かれた。競技場ゆかりの様々なアスリートやアーティストがパフォーマンスを披露した。
そのスポーツパートで、初めてその芝に足を踏み入れる大役を果たしたのは、サッカー元日本代表、現役のレジェンド、三浦知良選手だった。
青いユニフォームに身を包んで大歓声の中登場した三浦選手。ボールを蹴りながらピッチに進むと、リフティングやドリブルなど衰えない華麗なテクニックを披露。
さらに、スタンドにサイン入りのボールを蹴り入れるパフォーマンスで沸かせた。
インタビューで国立競技場への思いを問われると「自分にとっても、この場所は思い出深い、とても大切な場所です。Jリーグ開幕戦(1993年)、日本代表として戦ったワールドカップ予選、国内のすべてのタイトルを取ったのも、この場所でした。そして、きょう、新・国立競技場のオープニングに招待していただき、ここに今立てていることを誇りに思います。新しい歴史を作ってゆきましょう。ここがまた聖地になるよう、選手みんなで頑張って行きます」と語った。
さらに、セレモニーには、2019年のワールドカップでベスト8の快挙を果たした、ラグビー日本代表のリーチマイケル選手、中村亮土選手、田中史朗選手も登場。
リーチマイケル選手は「応援ありがとうございました。オリンピアン、パラリンピアンの選手も、ここでいい結果が出るようお祈りしています」と、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに出場する選手たちにエールを送った。
また、初対面だという三浦選手との交流も実現。尊敬しているという三浦選手の印象を問われたリーチマイケル選手は「テレビの中の人。実際お会いすると渋いですね」と話し、三浦選手は「ありがとう」と応じていた。
性別や国境、健常者と障害者の枠を超えることを目指した、新しい形の陸上競技「ONE RACE」には、トップアスリート24人が参加。パリ、米ロサンゼルスとリアルタイム中継をつないだ、混合チームでのレースが行われた。
レースは3カ国でバトンを繋いで展開され、レッド、グリーン、オレンジ、ブルーの4チームで競った。陸上でオリンピック3大会連続金メダルのウサインボルト選手や、オリンピック日本代表の桐生祥秀選手がアンカーを務めた。
第5走者からは4チームともバトンが国立競技場に戻り、チームレッドが優勝した。
ボルト選手が率いるチームブルーは3着。ボルト選手はレースの感想を聞かれると「素晴らしいイベントが開催され、そこで走れているのは嬉しい」と話した。桐生選手は「来年戻ってきて、全力で走りたい」と意気込んだ。
文化パートでは、東日本大震災で大きな被害を受けた東北6県から代表的な祭りが集結した「東北絆まつり」や、和太鼓集団「鼓童」による演奏も行なわれた。
音楽パートでは、DREAMS COME TRUEと嵐が登場しライブを披露。
嵐の二宮和也さんは「アスリートもアーティストも全ての方の目標となるような場所に」、桜井さんは「オリンピックのメインスタジアムは臨場感と興奮が生まれる場所。記憶に残る名場面、感動のシーンが見られることを楽しみにしています」と語った。
また、エンディングではサプライズゲストとしてゆずも登場、「栄光の架橋」で、会場は大合唱に包まれた。新・国立競技場の初の一般公開となったこの日。抽選で当たった来場者約6万人で、会場は埋め尽くされた。