スマートフォン販売世界4位のシャオミ(Xiaomi、中国・北京)が12月9日、都内で記者会見を開き、日本市場への参入を正式に発表した。
第1弾として、1億超画素を誇るスマートフォン「Mi note 10」などを投入する。
ハフポスト日本版では、参入に合わせてシャオミ幹部に単独取材を実施。日本市場での市場戦略や、過去にあった日本市場を軽視する発言の経緯などについて聞いた。
■スマホや炊飯器など発表
シャオミは2010年に雷軍(レイ・ジュン)CEOらが北京で設立したスマートフォンメーカー。世界4位となったスマホ事業のほかに、モノとインターネットをつなぐIoT技術を活かした家電製品などにも力を入れている。
この日開かれた記者会見では、シャオミのスティーブ・ワン・東アジア担当ゼネラルマネージャーが登壇し「イノベーション、デザイン、品質、そして公正な価格を4本柱にした企業です」と紹介。日本市場へ投入する製品の第1弾として、1億800万画素を誇るフラッグシップモデル「Mi note 10」を披露した。
5種類のレンズを搭載していて、画質を損なわずに0.6〜50倍までのズーム調整が可能だという。カメラ機能を通じて、技術力の高さを日本の消費者にアピールする狙いがある。価格は5万2800円(税別)。
そのほか、ウェアラブル端末「Mi Smart Band4」や、アプリを通じて遠隔操作が可能な炊飯器、それにスーツケースなども発表された。
■なぜ日本市場に?
ハフポスト日本版は、スティーブ・ワン氏に個別インタビューを実施した。
「日本は特殊な国ですし、大きなチャレンジです」と切り出したワン氏。
シャオミは、中国のほかにインドでも大量のシェアを獲得したほか、EUや韓国などにも進出している。満を持しての日本進出とはいえ、単純な時期では競合相手となる他の中国系スマホメーカーに遅れをとっている。
ただ進出の時期としては適切かもしれない。総務省は10月から、通信キャリアと契約した場合にのみスマホ本体の値段を割り引く「端末値引き」を禁止した。
“本体0円”のような過度な競争はできなくなるとみられ、SIMフリー携帯には追い風だ。
「その要素も確かに考えたことはあります。ただ、進出時期が今になったのは単純に内部リソースの問題です。欧州などに比べ時間がかかり、日本独自の認証を取る必要もありました」
シャオミの特徴は、その価格の安さにある。「ハードウェア製品の利益率が5%を超えない」と雷軍CEOが公言したこともあり、日本では広告を出さないなどのコストカット策を実施する。
しかし低価格スマホでは、同じ中国企業のファーウェイや、指原莉乃さんをイメージキャラクターに起用するOPPOなどがすでに日本市場に進出している。日本では後発のシャオミは、どのようにシェアを広げるつもりなのか。ワン氏に聞いた。
「まだ第一歩がスタートしたばかりです。それに、ファーウェイやOPPOとはビジネスモデルが違うのです。今回、スーツケースなどを発表したように、我々はIoTで製品をつなげるエコシステムを提供します」
一方で、シャオミと日本のつながりで言えば、過去に騒動もある。2017年、中国国内の大学で、現地の学生向けに企業説明会が開かれた際のことだ。
日本語専攻の学生に対し担当者が「日本語専攻の学生は出て行っていいよ。それか、映画事業を紹介してあげようか?」と言い放ったのだ。この場合の「映画事業」はアダルトビデオ業界を指すとみられる。
この発言が「差別的だ」と現地で批判が集まり、シャオミは謝罪の声明を出した。同席していた別の担当者が釈明する。
「当時の発言は、担当者個人の行為なのです。彼には処分が下され、すでにシャオミにはいません。日本の皆様には本当に申し訳ないと思っています。彼の発言は、シャオミの日本市場への進出には一切関係がありません」
シャオミは、こうした傷を癒し、日本で新しくブランドイメージを築き上げていくことになる。ワン氏は今後の目標については「具体的な数字は設定していない」としながらも、次のように語った。
「短期的な市場環境については考慮していません。ただ日本でやっていくと決めたのです。5年、10年と時間をかけて長期的にやっていく。これから投入していく製品については、日本のファンの皆様とコミュニケーションをとりながら決めるのが大事だと思います。
シャオミは低価格で、驚きの品質を実現しています。コスト・パフォーマンスの良いブランドとしてやっていきたいです」