少しずつ女性が社会的地位を確立していっているとは言え、いまだに男性優位の社会である国や分野が多く、マスメディアで描かれ、伝えられる女性像は、つい男性の視点に立った、男性の望む、またある意味で、男性に都合のいい女性像でありがちなきらいがあるように思います。
そういう風潮の中で、女性が女性を撮影した写真、女性が美しいととらえて描こうとする女性の姿を具現化した写真に、女性が詩を添えた写真と詩の展覧会、Donna vede donna 「女が見る女」が、今日からウンブリア州トラジメーノ湖畔の村、サン・フェリチャーノの漁業・トラジメーノ湖博物館(Museo della Pesca e del Lago Trasimeno)で開催されています。
今日は会場で、午後4時半から開会式があり、二人の女性写真家の写真に添える俳句を担当したわたしも、夫と共に参加しました。
この展覧会の企画・運営を担当してくれた二人の男性、マルコ・パレーティ(Marco Pareti)とステーファノ・ファージ(Stefano Fasi)のうち、まずはマルコが最初に、「女性に対する暴力を廃するためにも、特に若い世代に向けて、女性がとらえる女性の美しさ、優しさ、すばらしさを伝えていきたい」という展覧会の意図について、語ってくれました。地域で文化を促進し、展覧会を支援してくれる団体、地域の二人からの言葉に、ステーファノの言葉が続きます。
写真の主題と対象が同じ女性であり、トラジメーノ湖を念頭に置いて撮影した写真でありながら、このレニルダの鮮やかな色と色の対照、躍動感が見る人の意表をつく作品をはじめとして、それそれぞれに作風も切り取り方も、色づかいも違う9人の女性写真家の写真がすばらしく、興味深かったです。
女性の持つ様々な面、すばらしさを伝えることで、女性に敬意を表し、女性への暴力を撲滅していこうという開会式でのマルコ・パレーティの言葉の意味が、それぞれの作品を見ていくうちに、より深く理解できたように思います。
女性のしぐさ(gesti)に焦点を当てて、女性の魅力や特徴をとらえようとした、このロベルタ・コスタンツィの写真が、
グラツィエッラ・マッラマーチが添えた詩句を読めば、相乗効果で、より心に迫ってきます。
女のしぐさ
習慣的で、注意力に欠けていて、
包み込み、手をかけ、
愛し、
動作はゆっくりと、
時に素早く、
正確で忍耐強く、
確かながら震えがち。
観察していると
時に、しずかに
笑みがこぼれる
女の
しぐさに
人生が
見つかる
(以上、石井訳。夜遅くもあり、流れるようにさっと、雰囲気を伝えるように)
わたしが詩、俳句を担当したのは、「女性が神であったとき」と題するこのアントネッラ・ピゼッリの作品と、冒頭のアントネッラ・マルツァーノの写真です。どんな写真にどういう俳句を添えて、どんなイタリア語訳を添えたかは、また後日記事にするつもりでいます。
アイデアが共感と情熱を生み、皆の協力によって、初日から多くの方が見にきてくれる、意義深い展覧会が開催され、それを地元の協会や行政が支援するということも、すばらしいと思います。今後もこの展覧会、Donna vede Donnaは、パッシンニャーノ、トゥオーロ、カスティッリョーネ・デル・ラーゴといったトラジメーノ湖畔の市町村や湖に浮かぶマッジョーレ島のみならず、ペルージャで、そしてウンブリア州ではない州でも、そしてイタリアの国外でもと、すでに様々な場所での開催が決まっているそうです。そうやって、女性のとらえる女性の美しさや力、創造性がより多くの土地に広がることで、女性像に偏りのない世の中にしていくためのきっかけに、少しでもなればと願っています。
開会式に、夫はもちろん、義母や義弟夫婦も来てくれて、うれしかったです。急に言われてとまどいながら、スマートフォンを使って撮影した、自らと作品の約50秒の紹介映像が、会場の一角の大きな画面に、他の人の映像に続いて、映し出されていて、気恥ずかしかったです。
こちらは、展覧会開催に携わった皆で撮影した写真です。すばらしい展覧会に、わたしも参加することができたことを、とても光栄に思っています。
午後4時半前に、わたしたちが会場に着いたときには、太陽がちょうど雲の層へと入っていくところだったのですが、開会式が終わり、展覧会を見たり、皆にあいさつをしたりしてから、外に出ると、外はもうすっかり暗くなっていました。
機会があれば、今後はいずれペルージャでも開催されるということですから、ぜひ足を運んでみてください。女性を様々な角度からとらえた女性による女性の写真が、これまでに類のない多様な女性像を、感慨と共に、心に運び込んでくれるはずです。
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Donna vede donna, mostra fotografica corredata da versi.
Per un mondo più equo, senza la violenza contro le donne
attraverso le immagini e le bellezze delle donne
colte e trasmesse dalle donne italiane e straniere,
da nove fotografe e cinque autrici di poesie.
Mostra ideata e coordinata da due gentiluomini grandi
e supportata da diversi enti e istituzioni locali.
Bellissima la mostra, stupenda la serata.
Grazie mille a tutte e tutti per tutto :-)
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Donna vede Donna
Mostra collettiva fotografica corredata da versi
10 novembre - 29 dicembre 2019
@ Museo della pesca e del Lago Trasimeno
Ideazione e coordinamento del progetto: Marco Pareti e Stefano Fasi
Espongono: Sara Belia, Roberta Costanzi, Elena Kovtunova, Naoko Ishii, Graziella Mallamaci, Antonella Marzano, Lorena Passeri, Rita Peccia, Antonella Piselli, Mariapia Scarpocchi, Marina Sereda, Anastasia Trofimova, Renilda Zajmi.
Inaugurazione ore 16,30 di domenica 10 novembre - ore 16:30
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Mostra collettiva fotografica corredata da versi
*この記事は11月11日に「イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia」に掲載されたものを転載しました。