レスリングでオリンピック3連覇を果たし、2019年1月に現役引退した吉田沙保里さんが11月19日、アスリートのセカンドキャリア支援を発表した民泊プラットフォーム「Airbnb」が開いた記者会見で、「セカンドキャリアに悩んでいる人がたくさんいる」と実情を語った。
Airbnbは、公式パートナー契約を結んだ国際オリンピック委員会(IOC)と共同で、オリンピアンが自分のスキルや体験を利用者に提供する対価として収入を得るプラットフォームの展開を発表。
吉田さんは発表会見に登壇し、元アスリートの立場としてセカンドキャリアなどについて語った。
会見でのやり取りや、ハフポスト日本版などのインタビューで語った内容を紹介する。
吉田さんはまず、アスリートのセカンドキャリアの現状について、「後輩や知り合いで、競技に専念して、引退した時にセカンドキャリアをどうしたらいいのかと悩んでいる人たちをたくさん見てきた」と説明した。
Airbnbが展開する「オリンピアンによる体験サービス」は、アスリートが「ホスト」として、トレーニングの手伝いや街の散策といった体験プランを自由に提案し、利用したい人とマッチングするサービス。
「アスリートにとって活躍の場が広がるのは最高なことで、ありがたい。選手たちが競技を間近で教えれば、将来の子供たちにとっても底上げになる」
吉田さんは、セカンドキャリアや育成の場になると歓迎する一方で、普段は体験の機会が少ない競技に触れる場となることにも期待する。
「レスリングは相手も必要で、環境もあまりたくさんないので、近くに環境があったという人たちしかできない。いきなり技をかけても危ない」
自分が利用・体験したい競技として、フィギュアスケートをあげた。
「できたらかっこいい。絶対に目が回るだろうが、リンク上をすいすい滑れたら、どんなに気持ちがいいだろう。オリンピアンに教わるほど贅沢なことはない」
引退してからは、テレビやイベント、トークショーなどで幅広く活躍する吉田さん。
ハフポスト日本版などのインタビューで「なるようにしかならないと思って生きてきた」と語り、長いスパンでセカンドキャリアを考えるというよりも、今の仕事や役割に精一杯取り組むことに集中しているという。
それでも、アイスクリーム店を手がけるオリンピアンの元柔道・松本薫さんや東京オリンピック後に医師の道に進むと表明しているラグビー福岡堅樹選手ら、スポーツ以外の分野でセカンドキャリアを歩むアスリートについて問われると、こう答えた。
「全く競技と違うこと、やりたかったことを現実にしているのは凄い。かおりちゃん(松本さん)は知り合いですけど、お子さんもいる中でしっかりアイス屋もやっているのは、本当に素晴らしい生活を送られていると思います」
その上で「自分が興味を持てたら... 何かを見つけられたらいいかな」とも語った。
話は東京オリンピックの聖火ランナーにも及び、「できれば最終点火者をやりたい」と打ち明けた。
「ライバルは?」と問われると、元マラソンの高橋尚子さんやフィギュアスケートの羽生結弦選手をあげて、「選んでもらえたら嬉しい」とアピールした。