【子どもが起こしたトラブル】親の対応で変わる「その後」、実体験を通してわかったこととは?

子どものために、親が本気で頭を下げている姿は、彼らの心に深く刺さるはず。
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子どもを育てていると、「うわ、やってくれた」と思うような事件が起こります。保育園や幼稚園でも、ちょっとした「オモチャの取り合い」だったけれど相手をケガさせたとか、先生から連絡をもらうような「出来事」はあるものです。どうやら「わが子がトラブル起こしたらしい」そんな時、ママはどんな対応をするべきなのでしょうか。

私(ライター:大橋 礼)には長男(26歳ですが)と次男(10歳)がいますが、長男の時に、さまざまなトラブルを経験しています……。

「やられた側」の気持ち

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まずは幼児期です。これは「やらかした」のではなく、「やられた」側でした。

当時、スイミングに通っていたのですが、長男は何やらちょっとした事から相手の子とケンカになり、その子が長男を押したとかで転び、膝がパックリ割れました。そのまま救急病院行き、結局5針縫うほどの怪我になりました。

さぁ大変です。
スイミングの教室からは、コーチの上司という統括部長のような方から連絡を受け、謝罪を受けました。しかし、どうにも納得いきません。そのケガをさせた相手は、親は、どう思っているのだろうとモンモンとするばかりです。

結局、その親から特に連絡は受けませんでした。なるほどケンカですから、わが子にも悪い所はあったのでしょう。しかしケガをしたのだから、少なくとも相手から何かしらの連絡を受けるべきではないのか、と、私は思いムカムカしていたのです。

私の最初の経験は「やられた側」でした。当時「やる側」になった時の親の気持ちを想像できる程の余裕はありませんでした。表面的には「お互い様ですから」と言いながらも、胸の奥では(あやまれよーッ!)と憤慨したのを覚えています。

「やる側」になってみた時

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さて、今度は小学生になってみると、「やった側」を経験しました。3年生の頃ですが、当時カードゲームが流行しており、うちの子がカードを取った、取らないといったトラブルから相手と盛大なケンカになりました。ケガはしませんでしたが、相手の子の筆箱を投げて壊してしまいました

子どもにとって、当時レアなカードを持つことは史上最大の「自慢」でした。そもそも親に内緒で学校にカードを持っていった事自体がまず問題です。が、そこからケンカになった理由となると、子どもは自分に不利な事は言いませんから、親としては「どこまで疑い、どこまで信用するか」で悩みました

やる側になると、やはり「やった理由があるはず」とわが子をどこかでかばいたくなるのですね。どうも相手の子が悪いようにも思える。そこで手をだした長男も悪いが「相手の子だって……」と思ったのです。

やられた時は「どんな理由があったって、そこまでやったのは許せない」と思い、やる側になると「そこまでやったのには理由があるから一概にウチの子が悪いとは言えない」と思ってしまう。

結局、親はなるべく冷静に「やられた時もやった時も」、状況を判断し、その都度「教えるべき事を教える」のが必要なのでしょう。言うは易し、です。いざそんな場面になると、つい母として「でも相手の子が」の気持ちがムクムクとふくれあがってしまう。「私は子どもを厳しく躾けている、怖い親だ」と思っていても、です。

中学では相手の子を骨折させる大事件が勃発!

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しかし、もっとも大変だったのは中学に入ってからでした。おふざけと本人は言っていましたが、相手の子を骨折させてしまったのです。これは、どんな理由があるとも、親が謝罪しなければならない事態です。

しかも、ウチは二人目不妊を経験し、ようやく出来た「次男」は生まれて3週間。退院してスグの出来事でした。

夫は忙しく、私はベビーシートに寝かした生後3週間の次男(つい少し前に退院したばかりだったのです!)と、15歳の長男を車に乗せて相手の家へ向かいました。そこで、首の座らない次男坊を抱きながら、「大変申し訳ありませんでした、父親からもよく言い聞かせました。本人も反省しています」と言い、少し不機嫌な長男の首をつかむようにして頭を下げさせました。

どのような理由があっても、相手を骨折させるなど「分別を越えている」わけであって許されない事です。

ただただ、頭を下げて「すいませんでした」と言い、相手が「どうか気にしないで」と言ってくれたのがせめても救いでした。

この時の出来事を私は忘れた事がありません。

仕事をしながら自分なりに一生懸命子育てをしてきたつもりだ。その都度、叱ったり諭したりしながら頑張ってきたのに、この結果!長男に対しても、そして自分自身に対しても悔しくて、私は泣きながら運転していました

この時、長男はふてくされ、帰宅後に夫にも怒られましたが、さして反省している様子はありませんでした。

「これ以上やってはいけない」子どもをそこで留めるものとは

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長男は、その後も様々な問題を起こしました。しかし、最終的に、私たち親がどうにももてあますような事まではしませんでした。彼に、何が、どうして、ブレーキをかけたのでしょうか。

今、社会人になった長男がある時、こう言ったのです。

あの時、お母さんがずっとすいません、すいませんと頭を下げていた時のことは忘れてない。泣きながら運転しながら、だけど、あんたの事は信用しているのよと言っていた事も覚えている

「色々あったけど、最後の最後になるとお母さんがあの時、相手の親にずっと頭を下げて謝っていた姿が浮かんだ。泣きながら運転していた姿が浮かんだ」

それなりに悪いと言われるような事はしたかもしれないけれども、本当に問題になるような直前スレスレで長男は踏みとどまった。

それは、「私の泣いている姿を、自分の為に謝っている姿を」思い出したからだ、と言うのです。

本当に道を踏み外す前に「親の姿」が浮かぶはず

親が本気で子どもの為に頭を下げている姿。

それは、実際に深く子どもの心に刺さるのでしょう。

保育園で誰かに悪さをして、相手の親に何か言われるような事もあるでしょう。小学校で「○さんちの子がけっこう、やってるみたいよ」と噂されるかもしれません。そうした時には、まず実際にウチの子が「やらかしている」かもしれないと考えて行動すべきです。

うちは男の子でしたから単純なケンカと怪我がほとんどでした。女の子の親に聞くと、女子の場合はわかりづらいトラブルも多いようです。それでも、相手を傷つけるような事を「やった側」になったら、やはり親として真剣に相対し「何がいけないのか」教えなくてはなりません。

子どもの成長と共に、これ以上はダメだという「ライン」があるはずです。踏み越えてはいけない一線を「やってしまうかどうか」は、もしかしたら、それ以前の小さなトラブルの時に「親がどう対応したか」が大きな影響を持つのかもしれません

病気のときにずっと側にいて心配そうに見守っている姿。
怒り、叱り、真剣な思いをこめて語りつづける姿。
親が自分のために本気で頭を下げて謝っている姿。

子どもの心に最後にブレーキをかけるのは、それまで見つめ続けた親の姿です。

大橋 礼

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年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。