ラグビーワールドカップで、快進撃を続ける日本代表。史上初のベスト8を決め、10月20日には決勝トーナメントで南アフリカと対戦します。
ワールドカップ人気で急速にファンが増えた反動で、ある混乱が生じています。ラグビーボールと、アメフトボールの取り違えです。
Twitter上でも、せっかくラグビーのことを呟いたのに、絵文字がアメフトボールになっている“残念ツイート”も散見されます。ワールドカップの公式Twitterが過去に注意喚起ツイートするなど、若干の紛らわしさは拭えません。
今さら聞けない、ラグビーボールとアメフトボールの違いを解説します。ドヤ顔で、日本代表を応援しましょう!
まず、公式規格を確認します。
細かいので、まず結論をざっくり言います。ラグビーボールの方が一回り大きくて、ちょっと重い。色はラグビーが白、アメフトが茶色。アメフトは編み目(レース)があって、ボールの両端に白いラインが引いてある。
次に具体的なスペックを見ていきましょう。公式規則の規格を比較してみました。
長さ 28〜30cm vs 27.6〜29.1cm
周囲(長)74〜77cm vs 70.5〜72.4cm
(短)58〜62cm vs 52.7〜54.0cm
重さ 410〜460g vs 397〜425g
色 白 vs 茶色(革の色)
素材 合成皮革(原則)vs 革(原則)
絵文字 🏉 vs 🏈
(もっと詳しく知りたい人は、最後まで読んでください)
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昔はラグビーボールも茶色で縫い目も
今でこそ、色や編み目(レース)で見分けやすくなったが、ラグビーボールが茶色で、縫い目のある時代がありました。日本ラグビーフットボール協会の担当者はこう説明します。
「素材が革だった当時は茶色でした。縫い目もついていました。昔はボールに空気穴がなかったので、チューブに空気を入れた後、革で包んで縫い付けていたからです。空気穴ができた後も、しばらく縫い目が残っていました」
昭和の終わりごろに合成皮革が取り入れられると、色も白に変わっていったそうです。現在も規則上は「皮、または、適切な合成皮革素材」と定めていますが、革は水を吸うと重くなるため、合成皮革で防水加工のボールが大半を占めます。
アメフトボールの両端の白いラインは学生だけ?
一方で、公益社団法人日本アメリカンフットボール協会によると、アメフトボールは原則は革素材ですが、合成皮革や雨天用のゴムボールもあり、大会によって使い分けているようです。
色は「皮の自然な色」とルールブックで決まっており、合成皮革や雨天用のゴムボールも茶色に塗っています。
最大の特徴かと思われる両端の白いラインも、学生アメフトのボールはプリントされていますが、社会人アメフトのボールにはない場合もあるそうです。
アメリカンフットボール協会のボール規定は、アメリカの大学アメフトのルールや規格に準拠しています。アメリカでも同様に、学生のボールは白いラインが入っているが、プロリーグNFLではラインがありません。
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一見すると同じように見えるラグビーとアメフトのボールは、それぞれの競技の特性に応じて規格が決まっています。
後方にしか投げられないラグビーとは違い、前方に投げられるアメフトはスローを多用するため、持ちやすく、投げやすいようボールのサイズが小さめになっています。野球ボールと同じように指をかけるため、レースが活躍します。
「アメフトはレースが大事です。サイズはラグビーと比べて一回り小さい。ラグビーはボールを抱えて扱うと思いますが、アメリカンフットボールは片手で扱います。 細くなっている端っこをつかむのですが、そうすると、中指と薬指がレースにかかるような作りになっています」
握力を鍛えるため、トレーニング用にレースのないボールもあるようです。