中止されていた企画展『表現の不自由展・その後』を含めて、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」が10月8日に全面再開することが決まった。
9月30日に再開に向け、トリエンナーレ実行委員会と「表現の不自由展・その後」実行委による協議が始まって1週間。これまで再開を求めて活動を続けてきた、トリエンナーレ参加アーティストのグループ「Refreedom_Aichi」のメンバーからは「日本の『表現の自由』を新たに開く、歴史的な扉となる」などと喜びの声が上がっている。
アーティストたちの声を紹介しよう。
小泉明郎さん
再開を非常に喜んでいます。しかし、あと一週間、あの展示をいかに守っていけるか、そこに私たちの未来がかかっています。緊張感を持って最後の一週間にのぞみたいと思います。
永幡幸司さん
あいちトリエンナーレの『表現の不自由展・その後』の再開が決まったとの連絡をいただきました。ご支援いただいた皆様に、まず、お礼申し上げます。本当にありがとうございました。
今回の一件から,表現の自由を守るには,私たち一人一人の不断の努力が必要不可欠であることを改めて,そして,実感をもって学びました。これからもご支援のほど,よろしくお願いいたします。
Chim↑Pom
「表現の不自由展」の再開決定を歓迎します。
これによって、トリエンナーレで閉鎖されてきた、ほかの展示の再開も決定されていきます。 これは、「表現の自由」を求めてきた観客の大きな声と、関係者らによる粘り強い交渉の結果です。 展覧会オープン時とは違い、ボトムアップなプロセスによって展示が開かれるからこそ、私たちは会期終了まで、全力でこの再開をキープしなければいけません。
これからが正念場ですが、再開が最後まで達成された時には、明日開かれるこの扉の意味は、きっと、ただの「展示室の扉」を大きくこえたものになるでしょう。日本の「表現の自由」を新たに開く、歴史的な扉となるはずです。
大橋藍さん
8日の展示再開に滑り込むことができて本当に良かったです。本件の全関係者の粘り強い交渉と最終的な合意の為の妥協に本当に感謝しております。
これを機に海外作家をはじめとする全てのボイコットアーティストが戻ってきて、トリエンナーレが完全に自律性を取り戻すことを切に願っています。
また、ここから一番留意されるべきなのは不自由展の再閉鎖を避けることで、文化庁の助成金カット等、同じような事態が起こることを全力で阻止しなければならないと強く思います。
キュンチョメ
展示が閉鎖されて以来、真っ暗闇の扉の中で一人きりだった少女のことをずっと考えていました。明日からはもう一人じゃない。沢山の人が訪れて、沢山の人が彼女の隣に座って、静かに考える時間が持てることを切に願います。
トリエンナーレの一環として6日午後に開かれた国際フォーラムの中で、芸術監督の津田大介さんは「最後の協議中」と語っていた。
だが、SNS対策などで6日時点では折り合いがつかず、協議は7日に持ち越しに。ショックを受けた様子の作家もいた。
7日夜に開かれた緊急会見で、愛知県の大村秀章知事は「私たちが目指していたのは、トリエンナーレの参加作家が全員復帰しての全面再開。(中止やボイコットは)大変残念だった」と語り、「国際的にも評価が高い作家の作品がズラリと揃っている。全員が復帰しての日本最大級の国際芸術祭を楽しんでいただきたい。どうか多くの皆様のご理解ご支援をお願い申し上げたい」と謝意を述べた。