高級ブランド「LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・グループ」の会長兼最高経営責任者のベルナール・アルノー氏(70)が、16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんについて「若者の士気を低下させている」と批判した。ブルームバーグが9月26日に報じた。
アルノー氏は、同グループのイベントでトゥーンベリさんについて「彼女はダイナミックな少女だが、天変地異説にすっかり傾倒してしまっている」として、「彼女の主張は、若者の士気を削いでいると思う」と持論を述べた。
トゥーンベリさんは、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットで、各国のリーダーを前に「私たちは人類絶滅の始まりにいるのです」とスピーチし、「それなのにあなたたちが話しているのは、お金のことと、経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか!」と怒りを込めた。
だが、アルノー氏はここ数十年の経済成長により、世界中の多くの人々が貧困から脱却し、健康状態が向上したと指摘。「過去に戻りたくなければ、成長が必要だ」と語った。
アルノー氏の推定資産額は1080億ドル(約11兆6300億円)で、2019年7月時点でマイクロソフト創設者のビル・ゲイツを抜いて世界第2位の富豪となり話題となった。ちなみにランキングは時期や集計する機関によって異なる。
トゥーンベリさんの演説をめぐっては、政治評論家などから「精神的に病んでいる。両親や国際的な左翼に利用されていると」などと侮辱するコメントが出てきている。
トゥーンベリさんは「なぜ大人たちは子どもをあざ笑い、脅すのか。その時間に別の良いことができるだろうに」とTwitterで反論していた。
今回は大富豪から「若者の士気を削いでいる」と批判されたかたちだが、9月27日にはトゥーンベリさんの呼びかけで各国で温暖化対策へのアクションを訴えるデモ行進が行われるニュージーランドでは、若者を中心に17万人がプラカードを掲げながら行進したという。