横浜市神奈川区の京急線の踏切で9月5日、下りの快特電車がトラックと衝突し、トラックの運転手が死亡した事故を受け、京浜急行電鉄は脱線した事故車両の撤去のため大型クレーンを事故現場に搬入するなど復旧作業を進めている。
7日始発までに事故で不通となっている区間の運転再開を目指す中、ツイッター上では「#がんばれ京急」のハッシュタグがトレンド入り。6日正午現在で8万9千件以上ツイートされている。夜を徹して復旧にあたる作業員を応援するコメントが相次いでいる。
こうした投稿の中には、テレビ朝日が5日に報じた、運転士の経験の浅さを指摘するような報道に対し「京急の責任を追及しているのではないか」と疑念を呈する声もある。
テレビ朝日は5日午後8時すぎ、同事故についてのニュースをインターネット上に配信し、「『ブレーキ間に合わず』運転士になって1年1ヶ月」とのテロップを表示。
「運転士はブレーキを掛けましたが、間に合わなかった」、「運転士は車掌から運転士になって1年1カ月だった」との情報を伝えていた。
この報道をめぐっては、ネット上で、「その見出しは違うと思う。京急側に責任がある話なの?」「京急がまるで悪いみたいな報じ方」などと、批判的なコメントが相次ぎ、ツイッターでは「#がんばれ京急」のハッシュタグが作られ、様々なコメントが寄せられている。
「原因究明が不十分な今の時点で、鉄道会社が悪いみたいな言い方はよくない」
「夜を徹して復旧に向けて頑張っている京急を、むしろ応援したい」
「マスコミが京急を叩いている意味がわからない。#がんばれ京急」
コメントの中には、事故の原因を探ろうとする報道を「マスコミが京急を叩いている」とし、批判するものも多い。
今回のような報道について、ジャーナリストの佐々木俊尚さんは「違和感がある」と指摘する。
まず第一に、現在では事故原因は明確になっていない。
そしてそれは、すぐに分かるものでもありません。一定期間は検証が必要になる。
それにもかかわらず、あくまで推測でコメンテーターがものを言ったり、「京急側に責任があるのではないか」というスタンスでワイドショーなどが報じるのには違和感があります。
このような大きな事故が起きた場合、今回の対象は京急電鉄ですが、大きな企業の責任をまず追及しなきゃいけないと思い込んで報道するのは、報道する側の日常的な所作、マスコミ報道の“病巣“なのではないかと思います。
あまりにも責任を誰かにすぐに負わせようとする動きが強すぎると思います。
無理やり悪人を作り上げてしまうメディアの負の側面が出てしまっている。これに対して違和感を感じた人々が京急を応援しようとする動きが、今のネット上の世論なのでしょう。
原因究明がメディアの役割の一つなのは言わずもがなだ。だが、それを急いだ結果として、“犯人探し“を優先する構造になってはいないか。
現状の報じ方に違和感を感じる人の声に耳を傾けるべき時がもう来ているかもしれない。
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