世界経済フォーラムは9月4日、隔年で公表している「旅行・観光競争力レポート」の最新版を発表した。世界ランキングでの日本の順位は、2017年と変わらず世界第4位だった。
世界第1位はスペイン、2位フランス、3位はドイツだった。
「旅行・観光競争力レポート」で公表された指数ランキングは、同フォーラムが10年以上にわたって実施している、旅行と観光産業に関する調査。
世界140カ国を対象に、「効果的な環境」「旅行・観光の政策と促進要件」「インフラ(社会基盤)」「自然・文化資源」の4つの項目に基づいてランキング化し、競争力を順位付けしたものだ。
ランキングのトップ10は、以下の通り。
第1位 スペイン
第2位 フランス
第3位 ドイツ
第4位 日本
第5位 アメリカ
第6位 イギリス
第7位 オーストラリア
第8位 イタリア
第9位 カナダ
第10位 スイス
2019年に発表されたランキングの上位10カ国で前回調査よりも順位を下げたのは、2017年では5位だったイギリスのみだった。
2020年にはオリンピック・パラリンピックが開催される世界4位の日本は、国際観光客到着数が12位、国際観光収入は8位となり、アジア地域で旅行・観光競争力が最も高い結果となった。
同フォーラムでモビリティ部門長を務めるクリストフ・ウォルフ氏は、「2019年は、旅行への障壁が減るとともに旅行にかかる費用が低下したことによって、多くの国で旅行・観光競争力が飛躍しました。これを好機と捉えれば経済と開発の両面で利益を生み出せますが、長期的に利益を得るためには、インフラ整備や環境保護とのバランスを取ることが不可欠です」とコメントした。
欧州の「オーバーツーリズム」にも言及
レポートでは、主要な観光都市において観光客が大量に押し寄せるオーバーツーリズムの問題について、「影響の兆しが訪れている都市も少なくない」と指摘されていた。
今回のランキングで上位の国も例外ではない。
2位のフランスでは、パリ市の観光名所「ルーヴル美術館」ルーヴル美術館で5月、増え続ける訪問客らに対応できないとして抗議し、職員らが事前に予告なくストライキを実施していた。
同市のグレゴワール副市長は7月、「パリ市の中心部では、もはや観光バスを歓迎しない」として、観光バスの規制に乗り出す考えを表明した。
8位のイタリアでも、ベネチアで6月、大型クルーズ船が観光船と衝突する事故が起きたことを契機に、現地の住民らによる大型船の来航に抗議するデモ活動が行われていた。