「#パパ活」ツイート、警察が直リプ。性被害を誘うアカウントが続々凍結

Twitterで8月に話題になった埼玉県警察少年課に効果のほどを聞いてみた。
#パパ活 などと書かれたツイートに、かなりインパクトのあるリプライが。「こちらは埼玉県警察本部少年課です」の書き出しは犯罪者でなくても驚きそう…
#パパ活 などと書かれたツイートに、かなりインパクトのあるリプライが。「こちらは埼玉県警察本部少年課です」の書き出しは犯罪者でなくても驚きそう…
埼玉県警察本部少年課のTwitterより

「こちらは埼玉県警察本部少年課です。このツイートは児童買春などの被害につながるおそれがあります」

SNSで広がる「パパ活」などの売買春を誘発する投稿に、即座にリプライをつけまくる警察のアカウントが、8月下旬に「怒涛の警告リプ」としてTwitterで話題になった。

食事や買い物などをして過ごした対価として、男性が若い女性にお金を払う関係を「パパ活」という。女性が若い男性に対して同様の関係になると「ママ活」となる。

「肉体関係はなく売買春とは違う」という触れ込みで、専用のアプリができるほど10~20代の男女の小遣い稼ぎとしてブームが起きている。反面、援助交際や性被害の発端となる事件が絶えず、問題視されている。

「#パパ活」「#ママ活」というハッシュタグや、「今日会えないかな」などという文言をTwitter上で見つけると、県警アカウントはすかさず話しかけている。

こちらは埼玉県警察本部少年課です。このツイートは児童買春、誘拐や殺人などの重大な犯罪被害に繋がるおそれのある大変危険な行為です。また、こうしたツイートを通じて知り合った人と会うことも危険です。絶対にやめましょう。 pic.twitter.com/TfXIgMWtgX

— 埼玉県警察本部少年課 (@spp_syounen) May 7, 2019

4月にアカウントを開設してから約4カ月の間に、投稿したリプライは160以上。

Twitterでのパトロールについて埼玉県警少年課の野口仁邦次席は「『見られている』という抑止力は出ていると思う。いたちごっこではあるが、凍結につながることで、少なくともリプライのあったアカウントでは事態が進まない」と話している。

過去の凶悪事件の経験でも測れないような事態が起きるSNS時代

野口次席は、これまでに東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件などの重大事件の捜査も経験してきた。

ただ、SNSが隆盛し始めた近年は「過去の事案を踏まえることもあるが、サイバー空間が入り込んだことで、今は何が起きるのか分からない時代になった」と語る。

Twitterで注意喚起を始めたのは、全国で他にも同じような取り組みをしていた愛知県警などの動きを見て、必要性を感じたのだという。

警察官や教員が性被害やSNSが絡む重大犯罪の危険性を授業などで話しても、実感はわきにくい。しかし、未成年が危険性を意識せずに書き込んだツイートに、身近な存在ではない警察からの文言がリプライで来ることで強い危機感を覚えるきっかけになるという。

「パパ活やママ活じたいが直接犯罪にならないから良し悪しは別の問題だ、と思うかもしれないが、その先にある恐ろしい犯罪に対する想像力が乏しい」という懸念がある。

2017年には、SNSで知り合った未成年の女子高校生を含む9人が殺害された座間事件も起きている。「どうやって子どもたちにも当事者意識を持ってもらえるかが課題です」と言う。

成人が未成年の書き込みを見つけ、わいせつな写真を撮影して送ってもらったり、買春につなげたりすることを目論む場合もある。成人の書き込みについては、その内容が児童の人権を侵害し、性的な接触が犯罪となる可能性があることをリプライで伝えている。

こちらは埼玉県警察本部少年課です。このツイートは児童の人権を侵害する内容となっています。18歳未満の児童への性的な接触、撮影等は、仮に児童からの誘いであっても、犯罪行為として処罰の対象となる可能性があります。 pic.twitter.com/ZqTML0z9fh

— 埼玉県警察本部少年課 (@spp_syounen) May 7, 2019

こうした書き込みは、埼玉県であると分からない場合でも注意喚起することがある。 

「ネットの上には地域性はない。補導や逮捕につながれば、その地域の警察の管轄になるが、注意だけなら気が付いたらリプライできる」という。

注意を受けたアカウントは、9割以上が凍結されている。

増える自撮り被害、対策は水際で

児童を取り巻く事件では近年、未成年が自分の裸の写真を知人やSNS・ネットで連絡を取った人などに送ってしまい、児童ポルノの被害者になる「自撮り被害」が増えていることが問題になっている。

事件が起きてから逮捕などの対応ももちろん必要だが、何より必要なのは水際で防ぐ取り組みだという。

児童ポルノの被害に遭う子どもの人数は、この数年で急増している。2017年は4年前の約2倍になっている。
児童ポルノの被害に遭う子どもの人数は、この数年で急増している。2017年は4年前の約2倍になっている。
平成30年(2019年)警察白書より

野口次席は「未成年の自撮り被害はうなぎのぼりに増えている。Twitterを経由することも多く、警察がいち早く注意することで『見られている、捕まるかもしれない』と感じ、自主的にやめてもらえたらと思う。啓発の一つとしてこれからも積極的に続けていく予定です」と話していた。

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