全国的に猛暑となった2019年の夏。
8月も最終週だが、熱中症にかかる人の数は依然として多く、27日に総務省消防庁が発表した速報値によると、3227人が救急搬送された。
今夏の暑さの影響は、レジャー施設にも及んだ。
千葉県浦安市にある東京ディズニーランドと東京ディズニーシーでは、7月から実施されている夏季イベントの期間中、“高気温”を理由にショーやパレードなどのプログラムが中止される、“熱キャン”と呼ばれる事態が相次いで生じた。
「来園者だけでなく、出演者の体調も考慮」と広報担当者
夏休みには、毎年全国各地から観光客が集まる東京ディズニーリゾート。
連日の猛暑に対して、どのように対応したのか。同リゾートを運営する、株式会社オリエンタルランドの広報担当者に話を聞いた。
──この夏の猛暑の影響、パレードやショーへの影響はどの程度ありましたか?
7月9日から東京ディズニーランドと東京ディズニーシーでは、毎年恒例の夏季イベントを開催しています。
今年はこの2つのテーマパークで、“高気温”によるプログラムの中止は合わせて8件ありました。
この中止は、プログラムを鑑賞する来園者だけではなく、ショーやパレードに出演するダンサーやパフォーマーなどの安全や体調も考慮した上での判断です。
中止については、鑑賞を楽しみに来園される皆様への期待に応えたいという意図からもなるべく避けたいところではありますが、まずは安全を第一に考えて決定をしております。
夏季は、通常午後1時から始まるお昼のパレードについて、午後4時に開始時間を後ろ倒しするなどの対応も行いました。
──中止を決定する上での判断は何で決まるのでしょうか?基準があるのでしょうか?
弊社(オリエンタルランド)が独自で何か判断の基準を設けているわけではありませんが、プログラムの中止など実施判断については、環境省が定めているWBGT(暑さ指数)を参考にしております。
暑さ指数とは、熱中症を予防することを目的に1954年にアメリカで提案された指標だ。
ネット上で「熱キャン」などと言われている、“高気温”を理由としたプログラムの中止。
レジャー施設での猛暑の影響といえば、大阪府枚方市の遊園地「ひらかたパーク」で2019年7月、着ぐるみ姿でショーの練習をしていた男性が熱中症とみられる症状が原因で死亡したことは記憶に新しい。
同遊園地を運営する京阪レジャーサービスは、謝罪のコメントを発表していた。
出演者側の体調面・健康面のケアは、運営側の管理責任が問われる場合もあり得る。
来園者にとってプログラムの中止は残念なことだが、パフォーマーの命に関わる問題だとすれば、致し方ない判断だろう。
過去には噴水に足を入れて涼む行為も。来園者の暑さ対策は?
この夏の暑さから逃れようと、一部の来園者の“ある行為”が批判されたケースもある。
2019年5月、東京ディズニーシーでは、園内にあるテーマポート『アラビアンコースト』の広場に設置された噴水に足を入れて涼むという行為が相次いでみられた。
同社の広報担当者は以前、ハフポストの取材に、「設置している噴水は、あくまでもモニュメントとして造らせて頂いている。涼むために設置しているものでは決してありません」と答えていた。
──来場者の暑さ対策、どんな対応をとりましたか?
暑さ指数で25℃以上を超えた場合は、キャスト(従業員)が皆様へのお声がけを通して注意喚起を行っています。
他にも、アトラクションなどではキャストがミスト(霧状の水)をかけたりして涼を感じてもらい、できる限り快適にお待ちいただけるような取り組みを行っています。
──ソフト面以外の、ハード面の対策は何かありますか?
例えば、新アトラクションの『ソアリン』については、待機列のところに送風機を設置しました。
ほか、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの2つの施設で、屋外でお待ち頂く時間の長いアトラクションなどでは、パラソルを120本設置しています。
──夏季イベントは9月1日をもって終了。それ以降も急に暑くなる日などがあると思いますが、暑さ対策は一旦このタイミングで終了ですか?
いいえ。暑さ対策に関しては、イベントの開催に関係なく引き続き行っていきます。
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来園者だけではなく、施設で働く従業員、そしてパフォーマーなどの出演者。
今後のレジャー施設の暑さ対策は、この3者すべてへの対応と配慮がより一層求められる。