バスケ・ワールドカップ(8月31日〜9月15日)が中国で開幕した。
世界32カ国が出場し、日本の出場は、自国開催だった2006年以来3大会ぶり、予選を勝ち抜いた自力出場としては1998年大会以来21年ぶりとなる。
日本は1次リーグで「グループE」に入った。世界最強のアメリカをはじめ、トルコやチェコと対戦する。2次リーグに進出できるのは2チームのみ。絶対王者やヨーロッパの強豪相手に、どこまで戦えるのか注目が集まる。
バスケが好きな人も知らない人も、これを見ればワールドカップが丸わかり。日本の注目選手、対戦チームや見どころを一挙に紹介する。
まず、知っておくべき、我ら日本代表の注目選手を紹介する。(身長はFIBAワールドカップの公式サイトから)
●八村塁(パワーフォワード、205センチ)
みなさんご存知、日本のエーススコアラーで、日本出身選手初の一巡目でワシントン・ウィザーズにドラフト指名されたNBA選手。
強靭なフィジカルを活かしたポストプレーと、正確なジャンプシュートで得点を量産しながら、デフェンス面ではブロックショットが得意で、日本の攻守の要。豪快なダンクにも期待したい。
ワールドカップ直前の強化試合では、格上の強豪相手に30点以上叩き出す試合があり、世界トップレベルでも通用する片鱗を見せている。
八村選手に厳しいマークが集中することが予想され、世界トップレベルでどこまで通用するかが注目だ。
世界との距離について、勝利したドイツ戦後の記者会見で「相手も日本なんかに負けたくないという気持ちできて、僕らが勝ったのは大きい。自信につなげたい」と語っていた。
●渡邊雄太(スモールフォワード、208センチ)
メンフィス・グリズリーズ所属する、日本人2人目のNBA選手。長身に加えて、高い俊敏性と柔らかいシュートタッチを兼ねそなえる。
オフェンスではキレのあるドライブと、3Pシュートに期待がかかる。デフェンスの評価も高く、相手のエース選手のマークを託される機会が多いので注目したい。
「徐々に力をつけてきているのは、今日の試合を通して感じました。僕らも調子を上げて、ワールドカップまでに世界との距離を詰めていきたい」(8月24日のドイツ戦後の記者会見)
●ニック・ファジーカス(センター、211センチ)
2018年に帰化したアメリカ出身の元NBA選手で、日本代表に足りなかった海外選手との戦える高さを日本代表にもたらした。ゴール下の守護神として、日本が課題としているリバウンドに貢献できる。
オフェンスでは、ポストプレーから高さを生かしたフックシュートや、長身選手ながら3Pシュートも得意で、多彩なオフェンスを見せてくれる。
●比江島慎(シューティングガード、190センチ)
八村、渡邊、ニックのBIG3が代表に加わる前は、絶対的エースとして日本を牽引してきた。細かいステップで相手を抜き去る「比江島ステップ」を武器に、要所での得点能力が光る。
八村、渡邊らと並んで、世界各国やNBAの若手選手が参加する「NBAサマーリーグ」に召集された実力の持ち主だ。
●篠山竜青(ポイントガード、178センチ)
チームキャプテンで精神的主柱。けがで離脱した富樫勇樹から正ガードの座を引き継ぎ、司令塔としてゲームを組み立てる。
気持ちの入ったディフェンスでチームに勢いを与え、終盤の勝負がかかった場面でシュートを沈める勝負強さもある。
コート内外でチームを盛り立てるムードメーカーだ。
ワールドカップの意気込みをこう語っていた。
「挑戦者として世界で戦う。ただ行って、試合をして、経験しました、で帰ってくるのではなくて、『世界を驚かしてやろう』という気持ちで臨みます。しっかりと日本のバスケを体現する気持ちで臨みたい」
この5人がスターティングメンバーになると見られる。
素早い速攻やダンクが持ち味で、NBAサマーリーグにも参加した馬場雄大や、ポイントガードにコンバートした田中大貴にも注目したい。
対戦相手はどんなチーム?
お次に、日本が一次ラウンドで戦う3チームを対戦順に紹介する。
試合時間:9月1日午後5時半〜(日本時間)、放送:DAZN、BSフジ、CSフジテレビNEXT
若手からベテランまで多数のNBA選手を擁するトルコは、自国開催だったワールドカップ2010年大会では、準優勝に輝いたヨーロッパの強豪。
大型で動けるベテラン選手と、伸び盛りの若手が融合したチームだ。
主力は、ジェド・オスマン(200センチ、23歳)やアーサン・イリヤソバ(208センチ、32歳)らNBA選手2人。
オスマンは所属するキャバリアーズでも先発メンバーで、代表チームでもオフェンスの中心となる。突破力のあるドライブでの1on1から、得点を重ねる。
イリヤソバは、インサイドプレーから3Pシュートまでこなせるパワーフォワード。ワールドカップ出場は3回目で、献身的なプレーで長年トルコ代表チームを支えている。
FIBAの順位予想(全32位)では11位につけ、グループ内ではアメリカに次ぐ。
グループ突破はグループ2位以上が条件のため、絶対王者アメリカの1位突破が濃厚な中、トルコとの初戦は大きな鍵を握る。
試合時間:9月3日午後5時半から(日本時間)、放送:DAZN、BSフジ、CSフジテレビNEXT
チェコはワールドカップ初出場となるが、世界ランクでは日本よりも格上で、決して油断できない。
注目選手は、201センチの大型司令塔トーマス・サトランスキーと、213センチのビッグマン、ヤン・ヴェセリー(29歳)だ。NBAでプレーするサトランスキーは、ゲームメイクと豪快なダンクが持ち味。ヴェセリーは、八村選手が所属するワシントン・ウィザーズでプレー経験もある。
日本にとっては、落とせない一戦。FIBAワールドカップ公式サイトの順位予想は21位で、19位の日本が最終順位で僅差で上回ると予想されている。
サトランスキーは、「とてもいいチーム。日本には八村塁と渡邊雄太の2人のNBA選手がいて、予選でも大躍進した」と語っている。
試合時間:9月5日午後9時半から(日本時間)、放送:フジテレビ、DAZN、CSフジテレビNEXT
そしてお待ちかね。世界最強、ドリームチームと呼ばれるアメリカ。
トップ選手の多くが出場を見送っているが、それでも身体能力やフィジカルがずば抜けたNBA選手で構成された最強チームには変わりない。
注目選手は、5月に初来日したポイントカード、ケンバ・ウォーカー。NBA選手としては小柄な185センチだが、圧倒的なスピードと得点力を誇り、NBAのトップ15選手にも選ばれている。
若手勢では、身体能力の秀でたドノバン・ミッチェル、多彩なオフェンス技術を持つジェイソン・テイタムらの得点をどれだけ抑えられるかが、鍵になる。
日本の勝ち目は圧倒的に薄いが、全く付け入る隙がないわけではない。ワールドカップ直前のオーストラリア戦で破れ、最強チームにほころびも見えている。順位予想も2位と不安要素が残る。
雲の上の存在のアメリカ相手に、日本がどれだけ善戦できるか期待したい。
この試合は、フジテレビでの地上波中継を予定している。
グループリーグ突破の条件は?
日本はグループEで、アメリカ、トルコ、チェコと対戦する。ルールやグループ突破の条件は以下の通り。
1次ラウンド(32チーム):4チームごとの8グループ(A〜H)。3試合ずつの総当たりで、上位2チームが勝ち抜け
2次ラウンド(16チーム):4チームごとの4グループ(I〜L)。各チーム、1次ラウンドで対戦していない2チームと対戦。1次ラウンドの勝敗と合わせて、上位2チームが勝ち抜け
決勝ラウンド(8チーム):トーナメント方式で優勝を決める
順位決定戦(下位16チーム):1次ラウンドで敗退したチームがグループに分かれ、それぞれ2試合対戦。勝敗に応じて順位を決める。
ワールドカップは、2020年の東京オリンピックの出場をかけた予選的な位置づけでもある。
オリンピックに出場できるのは12カ国。予選を含めたワールドカップの結果や、試合の結果を踏まえて決定する。開催国の日本は、ワールドカップ出場などの実績を考慮され、44年ぶりの出場を決めている。