自らの女の子の赤ちゃんを栄養失調状態に陥らせたとして、オーストラリアの裁判所が30代の夫婦に社会貢献活動をするよう命令を出したと、BBCなどの海外メディアが8月22日報じた。
肉や魚をはじめ、卵・牛乳・チーズなどの乳製品を含めた動物性食品を食べない「完全菜食主義」を意味する“ヴィーガニズム”を強要したことが、栄養失調の原因とみられる。
裁判所はそれぞれの親に対して、更生保護制度の1つである18ヶ月の集中的処遇命令と300時間の社会奉仕命令を宣告した。
裁判官「子供たちに与える食事を保証することはすべての親の責任」
BBCによれば、オーストラリア・シドニーのダウニング・センター裁判所で開かれた公判で、サラ・ハジェット裁判官は、赤ちゃんに対する夫婦の行動を「完全に不適切な」食事制限だったと指摘。
栄養失調状態の赤ちゃんに対して、「何かしらの対処をするなどを全くしなかった」として、特に父親を非難した。
加えてハジェット裁判官は、「赤ちゃんは極度の栄養失調状態に陥り、体重が減り、年齢相応の標準よりも小さい体となっており、発達に遅れが見受けられた」と言及。
「子供たちに与える食事を保証することはすべての親の責任。(中略)その1つは望ましい成長のために、バランスのとれた、必要不可欠な栄養素が含まれた食事を十分摂らせること」と述べ、子供が成長するための栄養管理についての責任の所在は親にあると明確に示した。
うつ病を患い、“ヴィーガン”に固執した母。赤ちゃんは言葉も話せずの状態に
事態が発覚したのは2018年3月、赤ちゃんが発作を起こし、母親が救急に電話して保護されたことがきっかけだった。
赤ちゃんは現在3歳だが、1歳7ヶ月で保護された当時は歯が生えておらず、生後3カ月のような見た目で、唇は青く手足は冷たくなっており、低血糖や筋緊張低下症の症状も散見されたという。
CNNによれば、1歳7ヶ月の栄養失調状態の中での赤ん坊の体重がわずか4.9キロしかなかったことを当局が明らかにした。
実の親から引き離され保護された赤ちゃんを受け入れた里親は裁判所に対し、「起き上がることも、言葉を話すことも、自分で食事を取ることも、おもちゃで遊ぶこともできなかったし、寝返りさえも打てなかった」と報告した。
ハジェット裁判官によると、赤ちゃんが保護された当時、母親はうつ病を患っていて、ヴィーガンの考えに一層固執するようになっていったという。
夫婦は2018年5月に初めて出廷。その際には起訴事実について認めていた。