ニュージーランド議会で8月21日、議員が7月に生まれたばかりの赤ちゃんを連れて登院した。
赤ちゃんと共に議会に来たのは与党・労働党のタマティ・コフィー議員。
議会の審議中には、トレヴァー・マラード議長が議長席で“ベビーシッター”を買って出る場面もあった。
マラード議長は赤ちゃんを抱き、哺乳瓶でミルクを与えながら議事を進めた。
議長は自身のTwitterで、その時の様子を報告。
「通常、議長席は議長のみが座るのですが、きょうはVIPが私と共に議長を務めました」とジョークを交え、コフィー議員とパートナーであるティム・スミス氏に、新たな家族の誕生を祝うコメントを添えた。
本会議場に同席した議員たちも、次々と祝福。
労働党と閣外協力をする緑の党のギャレス・ヒューズ議員は、「議事堂に赤ちゃんがいるのは素敵だ」と伝え、本会議場で息子を抱き上げるコフィー議員の写真をツイートした。
同じく緑の党のゴリズ・グアラマン議員も「この光景を見る必要がある人は誰でしょうか?例外なく全員じゃない?こちら、議会で新米パパが生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしているところ」と涙顔とハートの絵文字を付けて紹介した。
コフィー議員は2011年に同性パートナーとの婚約を発表し、結婚した。息子は2019年7月に代理母出産によって誕生した。
7月9日、コフィー議員はパートナーのティム・スミス氏とその友人で代理母を務めた女性と共に、赤ちゃんの誕生を報告。「彼は家族たちに囲まれて、この世界にやってきた。ママは元気です。パパたちは生命の奇跡に圧倒されているよ」と喜びをつづっていた。
ニュージーランドでは、議長がベビーシッターになるのは初めてじゃなかった
コフィー議員は地元メディア「Newshub」に対し、「議会全体の同僚たちに本当に支えられていると感じています」と語った。
実は、ニュージーランドで議会中に議長がベビーシッターをするのはこれが初めてではなかった。
労働党で、2017年の総選挙で選出されたウィロージーン・プライム議員は、娘のヒーニちゃんを抱いて総選挙後に招集された国会の本会議場に登院。その場で授乳もしていた。
議会でもその行動が物議を醸すどころか、今回のコフィー議員の息子のように歓迎されたという。
また、労働党のキリ・アーラン議員と彼女のパートナーの赤ちゃんであるヒワ・イ・テ・ランギちゃんも、議長に抱っこされて議会に登場したことがあった。
ニュージーランドでは、1980年代に授乳室を本会議場のすぐ近くに作った。1990年代には、保育施設も作られたという。
最近では、2018年に同国のジャシンダ・アーダーン首相が国連総会で生後3カ月の娘とともに出席し、初演説したことでも注目を浴びている。
ニュージーランドのお隣、オーストラリアでは2017年、緑の党のラリッサ・ウォーターズ議員も議席で赤ちゃんに授乳していた。
イギリスでも、野党・自由民主党で初の女性党首となったジョー・スウィンソン党首が2018年に赤ちゃんを連れて議会に登院した。
一方、日本では2017年、熊本市議会に7カ月の赤ちゃんを連れて出席しようとした緒方夕佳市議が周りの議員らに取り囲まれて批判を浴び、説得されて同伴を断念した出来事があった。